用語:投資指標のIRRとは
不動産投資の世界、特にREITなどでは、IRRという指標も使います。このIRRという指標は難しいので、基本的には覚える必要はまったくありませんが、IRRという指標も不動産会社が使うようになってきたため、おおよそこんな意味だということを理解してもらえればいいです。
IRRとは
IRRとは、「Internal Rate of Return」のことで、内部収益率ともいいます。 このIRRが出てくるのは、通常の利回りやネット利回りなどは、時期を1点でとらえた評価で、投資して売却するまでのトータルでの評価がしにくいため、通期で判断できるIRRという概念がでてきました。
例@売却j時に100万値下げ
1,000万円の物件を購入し、毎年100万円の利益(10%)があり、5年後投資の出口で年間の100万円+900万円=1,000万円で売却する場合
初年度投資 |
1000万円 |
1年目 年利益 |
100万円 |
2年目 年利益 |
100万円 |
3年目 年利益 |
100万円 |
4年目 年利益 |
100万円 |
5年目 年利益 +売却額 |
100万円+900万円 |
IRR |
8.31% |
IRRは、8.31%となります。売却時も投資額と同じ1,000万円で売却できれば、10%になりますが、売却時に100万円の損失がでているので、8.31%と低くなります。
例A売却j時も初年度投資額で売却
1,000万円の物件を購入し、毎年100万円の利益(10%)があり、5年後投資の出口で年間の100万円+1000万円=1,000万円で売却する場合
初年度投資 |
1000万円 |
1年目 年利益 |
100万円 |
2年目 年利益 |
100万円 |
3年目 年利益 |
100万円 |
4年目 年利益 |
100万円 |
5年目 年利益 +売却額 |
100万円+1000万円 |
IRR |
10% |
この場合は、投資額と同額で売却ができたので、IRRは10%になります。
例B売却j時に初年度投資よりも100万高く売れた場合
1,000万円の物件を購入し、毎年100万円の利益(10%)があり、5年後投資の出口で年間の100万円+1100万円=1,200万円で売却する場合
初年度投資 |
1000万円 |
1年目 年利益 |
100万円 |
2年目 年利益 |
100万円 |
3年目 年利益 |
100万円 |
4年目 年利益 |
100万円 |
5年目 年利益 +売却額 |
100万円+1100万円 |
IRR |
11.59% |
この場合は、売却時に高く売却できたために、IRRは、11.59%になります。
これが、IRRの利点です。キャピタルゲイン、キャピタルロスによって、投資リターンがどのくらいになるのかを把握するのに便利です。
不動産投資のトータルリターンを高めるためには、投資期間中の稼働率を高めて、高いインカムゲインを得るとともに、売却時に高い値段で売る、高い値段で売れるタイミングで売るといった「出口戦略」も重要になります。
日本の不動産投資家は、キャピタルゲインが望めなくなったため、インカムゲイン重視の利回りで利益を計算している人が大半です。しかし、物件が安く家賃収入が高い、という物件でも、地方物件になると、売却時に大きな値下がりをする場合があります。
そうなると、売却損を引くと通期のトータルでは、赤字に陥る可能性もあります。REITなどのファンドが、東京や都心部のみに投資しているのは、利回りが低くても、通期で見た場合に負ける確率が低いことを計算しているためです。
我々個人の不動産投資家であっても、出口で売却ができるかの見極めはある程度必要になります。購入した時点より大幅に値下げしないと売れない物件には手を出してはいけないのです。
もちろん、IRRには大きな欠点があります。規模の比較ができないのと、期間をどうするかという点と、出口の価格など誰にも分らないので、あくまでも仮の数値を入れているにすぎません。あくまでもシミュレーション用です。
まとめ
・IRRは、キャッシュフローだけでなく、キャピタルゲイン、キャピタルロスを投資時点で検討することに意味がある
無料メルマガ登録:大家の味方
用語:投資指標のIRRとは 関連ページ
- 不動産屋・不動産コンサルタントにお願いする前に
- 物件を紹介するコンサルタントに依存しすぎない
- 不動産投資とは
- 不動産投資・賃貸経営のメリット
- 不動産投資・賃貸経営のデメリット
- 不動産投資は資本を使って利益を上げるトレーニング
- 賃貸経営の仕組み
- 不動産投資・賃貸経営の目的
- 不動産投資・賃貸経営のリスク
- 不動産投資のリスクをどのようにコントロールするか
- 不動産投資のレバレッジとは
- 購入できる収益不動産の額は金融資産次第
- 賃貸経営を拡大する時は金融資産を減らさない(CCRが重要)
- 不動産投資のキャッシュフローとは
- 投資分析:キャッシュフロー
- 返済比率で借入の安全度を理解する
- 不動産投資で資金がないと高速リタイアは難しい
- 不動産投資の種類を理解する
- 建物の構造を理解する
- 表面利回り・実質利回りの違いを理解せよ!
- 物件探しには実質利回りを簡便に使え
- 減価償却とは
- 銀行の融資期間は建物の耐用年数次第
- 用語:不動産投資で良く出てくるROIとは
- 用語:DSCR(借入償還余裕率)
- 収益物件の探し方:物件情報はどこから収集するか
- 収益物件の探し方:購入する基準を決める
- 収益物件の探し方:資金力×購入意思×スピード
- 収益不動産の探し方:不動産会社は両手取引が大好き
- 収益不動産の探し方:競売は中〜上級者向き
- 収益不動産の探し方:任意売却はお宝物件
- 物件資料の読み方:物件概要について
- 物件資料の読み方:物件概要を高速で取捨選択する
- 物件資料の読み方:レントロールを机上で評価する
- 物件資料の読み方:登記簿謄本の本質を理解する
- 物件資料の読み方:登記簿謄本を理解する
- 物件資料の確認:不動産会社へのヒアリング
- 物件の評価:積算評価・収益評価
- 現地調査:建物調査・周辺調査
- 買付申込書
- 価格交渉
- 買付から契約・決済までの流れ
- 契約:売買契約書のポイント
- 融資が否決されたの際の手続き
- 資金計画:取得時に必要な資金
- 資金計画:ランニング費用
- 資金計画:税前キャッシュフロー
- 資金計画:利益ベース
- 資金計画:アパートローンの返済方式について
- 資金計画:金利・融資期間による返済額
- 融資:信用情報の確認
- 融資:銀行にもっていく資料は事前に準備しておく
- 融資:銀行の担当者から聞かれること
- 融資:金融機関の種類
- 信用保証協会とは
- 不動産投資で信用保証協会をどう使うか
- 制度融資を使うと効果的
- 信用保証協会:責任共有制度
- 信用保証協会:保証料
- 信用保証協会:審査のポイント