不動産投資、賃貸経営で融資を行う銀行、金融機関について

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不動産投資家・賃貸経営者が収益物件を購入したり、新築を建築する際に利用する銀行の概要を把握しておきましょう。かなりの数がありますので、まずは身近なところに、下記銀行を確認するところから始まります。

 

 

都市銀行
三菱東京UFJ 銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、りそな銀行が都市銀行と呼ばれています。明確な定義があるわけではありませんが、東京、大阪に本店を構え、広域に展開している銀行を指しています。預金量や取引量が膨大であるため、資金調達コストが低く、貸出金利がとても低い銀行です。

 

アパートローンは、借りる方の居住地と物件所在地がその銀行のエリアにないと借入が難しいのですが、都銀であれば、エリアとしては対象になりやすいです。その反面、融資評価基準が、地銀、信金等よりも厳しく、アパートローンを借りるのは難しい銀行です。

 

不動産投資・賃貸経営の中でも比較的低金利で有利な運営ができますので、都市銀行で借入ができるようになると良いでしょう。

 

たまにですが、都市銀行の中でもアパートローンに積極的になる銀行がありますが、その時には、有利な融資条件で借入ができるので、そのタイミングを逃さないようにしましょう。2006年前後の三井住友銀行が融資を大幅に拡大していたのが有名です。

 

現在は、りそな銀行が積極的ですが、2006年前後の三井住友銀行のように、属性が低くても物件評価がでれば融資をしていた時代とは異なり、属性および物件の評価をベースに融資をしているので、誰にでも貸し出しているわけではありません。

 

地方銀行
東京で有名なのは、横浜銀行、千葉銀行です。地方に本店があり、その地名が付いている銀行がほとんどです。スルガ銀行は地方銀行ですが、ほぼ都市銀行と同じエリアに融資が可能な珍しい銀行です。地方銀行は、メガバンクより規模が小さくなります。

 

その反面、都市銀行より融資評価は緩い傾向にありますが、保守的な傾向が強く積算評価を重視しています。そのため、積算評価が大きくでる物件は地銀で融資が通りやすいといえます。※スルガ銀行は積算、収益評価ともしますが、どちらの基準も銀行の中でもっとも評価が出やすい銀行となっています。

 

地方銀行は、地方(県単位相当)に根差した銀行のため、借入する方の居住地にある地方銀行で融資依頼することになります。東京の方が、縁もゆかりもないと愛知の地方銀行に融資依頼するのはとても難しくなります。(応用:地方に登記する法人を所有すれば可能です)

 

金利は、都銀より高めですが、信用金庫、信用組合よりは概ね低くなります。

 

 

信用金庫・信用組合
信用金庫・信用組合は、地方銀行よりさらに規模が小さくなります。地方の狭いエリア(市単位もしくは県単位相当)を対象としています。サラリーマンの方は通常大手都銀や地銀で給与振込をしているので、信用組合・信用金庫への関わりが少ないですが、アパートローンでは、とても重要な銀行です。

 

居住地と購入する物件の両方が信用金庫・信用組合の近くにないといけませんが、信用金庫・信用組合は、県の一部のエリアにしか支店を出していなかったりしますので、エリアの問題がクリアできれば、とても融通が利く金融機関です。

 

都市銀行や地方銀行が相手にしない、個人零細事業者や中小企業者を相手にしているため、賃貸経営を始める方にも親身になって相談に乗ってくれます。ただ、普段は商店街のおじさんなど個人零細事業者や中小企業の社長を相手にしているため、サラリーマンに副業として始める賃貸経営について、後ろ向きな担当者が多いのも実態です。

 

信用金庫・信用組合は、不動産経営に詳しい担当者をいかにみつけるかがかなり大きなウエートを占めています。やる気のない担当にあたってしまうとまったく前に進みませんが、やる気のある担当であれば、属性や収入に難があっても、融資を引き出してくれるケースがあります。

 

都市銀行や地方銀行よりは、属性の評価が緩い傾向にあり、融資額が伸びるかはさておき、融資自体は出やすい傾向にあります。都市銀行や地方銀行では、融資対象の属性出ない方は、相談されることをお勧めしています。

 

日本政策金融公庫
政府系の金融機関です。全国がエリアでとても使いやすい金融機関です。公的な機関のため、起業家や社会的弱者にも積極的に融資をします。女性や若者、高齢者であれば、他の人よりも融資期間等で優遇されるため、融資の候補として挙げておいた方がいいでしょう。

 

金利は低めです。1%後半から2%中盤くらいまでです。変動金利ではなく、固定金利です。固定金利でここまで低い金利であれば、良い方です。ただし、弱点としては、融資期間が通常10年から15年未満と伸びないこと、融資額が通常4800万が上限です。そのため、相当な高利回りでないとなかなか収支がまわりにくいところがネックです。

 

また、融資評価も都銀並み以上に厳しい評価基準のため、フルローンを狙うのであれば、共同担保が必要になるケースが多くなります。社会的弱者の女性、29歳までの男性・女性、55歳以上のシニアの方は、小型物件でチャレンジしてみるとよいでしょう。

 

商工中金
商工中金も日本政策投資銀行と同じように政府系の金融機関です。正式には、商工組合中央金庫と言って政府系の金融機関でありながら民間と共同出資の金融機関です。他の政府系と異なり、融資だけではなく、預金や債券の発行など、民間の銀行と同じような業務を実施しています。

 

商工中金は全国がエリアであり、各都道府県に必ず支店があります。そのため、不動産融資も全国が対象となります。

 

アパートローンは、他の銀行と同じように積算評価と収益評価の両方になります。耐用年数が厳しいため、築浅の物件しか、評価が伸びません。金利は、1%から2%程度ですが、融資期間が最大15年基本のため、評価がでてかつ築浅の物件しか対象にならないでしょう。

 

築浅しか物件評価がでないため、正直言うと使いにくい金融機関です。築浅や新築であれば、都市銀行や地銀、信用金庫・信用組合を使ったほうが、条件がいいからです。ただし、それらの民間銀行から融資が受けられない方は、検討候補にしても良いでしょう。

 

 

JA(農協)
JAとは農協のことです。農業者によって組織された協同組合です。他の組合では、金融事業が禁止されていますが、JAでは信用事業・金融事業を行うことができます。よく知らない方も多いですが、農家の預金を預かっているので資金量も豊富で、農家の組合員向けに様々な事業(冠婚葬祭事業、観光事業など)を行っている総合サービス業なのです。基本は、農家向けの事業ですが、農家以外の一般の方も利用することができます。

 

そして、アパートローンについてですが、意外にも農家の土地の賃貸経営への転用などの貸付も豊富で、アパートローンについて積極的に実施しています。したがって、実は不動産投資用の資金を貸してくれる可能性がある金融機関です。

 

しかし、組合という組織のため、農家を中心とした組合員には貸しやすいのですが、農家ではない組合員(準組合員)には、優遇があまりありません。金利などでも農家は優遇されますが、農家でないとやや高めとなる傾向です。

 

JAは、地域ごとにJAバンクがあるので、そのJAバンクのエリアに限定されるので、エリアは信用金庫・信用組合と同じように狭いことがあります。

 

融資期間は、都市銀行や地方銀行、信用金庫・信用組合と同じような考え方であり、政府系の日本政策投資銀行や商工中金とは異なるため、長期融資も組めます。金利は属性によりますが、2%から3%前後で借入れできるので使い勝手は悪くはないでしょう。金利タイプとしては、変動も固定も選べるのもメリットです。

 

 

ノンバンク
ノンバンクというと高利貸しと思っている方がいますが、異なります。預金業務を行わず、他の銀行から借り入れて、消費者に貸付業務だけを行う会社を指します。収益不動産投資で有名なところでは、三井住友トラスト・ローン&ファイナンス、セゾンファンデックス、新生プロパティファイナンスになります。

 

都市銀行や地方銀行、信用金庫・信用組合とは全く異なる評価基準で貸し出し業務を行っています。各社、特色が全く異なるので、融資スタンスも各社各様です。

 

共同担保を取れれば、再建築不可や違法物件にも貸し出したりします。融資金額は、借りる方の属性によりますが、2000万〜5000万くらいまでがほとんどで、一定の金額を超えると基準が一気に厳しくなりますので、小型の物件しか借りることは難しいでしょう。

 

そして、融資評価基準が通常の銀行とは異なるので、最初にノンバンクで借り入れた物件が2棟目以降購入するうえで足を引っ張るケースがよくあるのも特徴です。

 

ノンバンクは、預金業務もなく、他の銀行から資金を調達するので当然ながら、借りてから高く金利を取らないと利益が出ませんので、金利は高くなります。4%以上となることが普通ですので、高利回りでないと収支がまわらないことが多いです。

 

借りやすい反面、他の銀行では融資の下りない物件や評価の低い物件を購入する可能性が高いので融資を受ける際には、慎重に検討することが必要です。

 

 

まとめ
不動産投資では、銀行融資がなければ拡大できません。スルガ銀行でだめだから諦めたという方もいますが、世の中には、たくさんの銀行があります。銀行にも支店によって融資スタンスが大きく異なるので、銀行×支店の数だけ融資の可能性があることを知りましょう。

 

お勧めはしませんが、属性が低く、通常の銀行では借りることが難しければ、収支が回ることを前提にノンバンクを使って最初の賃貸経営への足掛かりを作ることも戦略としてはあり得るでしょう。

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