買付から契約・決済までの流れ
不動産投資において、実際に目当ての収益物件に買付けを入れてから決済引き渡しまで、具体的にはどのような流れで進むのかを解説します。
ステップ1:買付申込書の提出
購入希望の物件が見つかったら、買付申込書を提出します。買付申込書は自分自身で書式を作っても構いませんが、通常は仲介に入っている不動産会社のものを使用します。
なお、買付申込書は早く売主側に見せることが重要ですので、実務上は郵送ではなくファックスでやり取りを行うのが一般的です。
ステップ2:価格交渉
募集価格に対して指値を入れている場合は、ここから価格交渉がスタートします。不動産会社が仲介に入っている不動産売買においては、価格交渉についても不動産会社が間に入って行います。
希望額については買付申込書に記載しますが、そこからの微調整については電話やメールでのやり取りによって進めます。
流れとしては、以下の通りです。
1:買付申込書を見た売主が、それに対する回答を売主仲介の不動産会社に伝える。
2:売主仲介の不動産会社から買主仲介の不動産会社にその旨を伝える。
3:買主仲介から買主に対して、売主からの回答が伝わる。
もしも指値が通ればこのやり取りは一回で済みますが、指値の間をとったりするような微妙な交渉となるような場合は、このやり取りを数回繰り返すことになります。
ステップ3:銀行融資の申込み
売買の価格が決まった段階で、銀行の融資を正式に申し込みします。実務的には買付を入れる前から予定している金融機関に対して融資を打診しておくのが良いでしょう。
ステップ4:売渡承諾書をもらう
価格交渉により最終的な売買価格が決まったら、売主から売渡承諾書をもらいます。ただ、実務上は売買価格が整い次第すぐに契約へと移行するため、売渡承諾書を省略する場合もあります。
ステップ5:重要事項説明を聞く
不動産売買契約に先立ち、不動産会社の宅地建物取引士より重要事項説明を受けます。重要事項説明とは、その名の通り不動産の売買に関する重要な事項を資格者が時間をかけて説明する手続きで、一棟アパートなど説明項目が多い物件を購入する場合は、半日ほどかけてじっくり説明を聞くこととなります。
原則的には重要事項説明を聞いてから熟慮期間を数日おいて契約締結という流れなのですが、実務上は買主も忙しいためあらかじめメールや郵送で重要事項説明書の見本を買主に渡しておき、事前に予習してもらったうえで契約締結の直前に重要事項説明を行うこともよくあります。
重要事項説明は、建物が今どのような状態なのかを知るうえで最も重要な情報となるため、いい加減にせずしっかりと集中して聞くようにしましょう。
ステップ6:売買契約を締結し手付金を支払う
重要事項説明を聞いたら、その後売買契約を締結します。売買契約書に署名捺印をした際に、契約書に収入印紙を貼って消印を押します。印紙代は通常買主と売主で折半となります。
そして、売買契約と同時に売主に対して手付金を支払います。受け渡し方法としては、その場で現金手渡しが多い傾向ですが、最近では振込によって渡す場合もあります。手付金を支払ったら、売主から領収書をもらいましょう。
また、「持ち回り契約」といって、売主と買主が対面で契約ができないような場合は、契約書を郵送で送って持ち回りによって署名捺印をして締結する場合もあります。
ステップ7:銀行融資の申込み
売買契約を締結したら、その時点から融資の打診から銀行の融資を正式な申し込みに変わります。その後、最終審査となり、融資の可否が判明します。ただし、内諾をとっていても最終審査でNGとなる場合もあるため油断は禁物です。
そのため、銀行融資を利用して購入する場合は、必ず契約書に「ローン特約」を盛り込むことを忘れないようにしてください。また、現金購入の場合はこの手続きは省略となりますので決済も早くできます。
ステップ8:決済引き渡し
融資を利用する場合は、金融機関とローン契約を交わしたうえで、売主に対して残代金を支払います。それと同時に司法書士が所有権移転登記の申請を行います。この際、抵当権付きの物件を購入する場合は、残代金をローン残債に充当して抵当権抹消登記をしてもらいます。
この際に不動産会社に対して仲介手数料を支払うとともに、固定資産税、都市計画税、管理費、修繕積立金などについても、日割り計算をして精算をします。そして最後に物件のカギと、入居者がいる場合は賃貸借契約書を引き渡して終了となります。
以上が買付から決済引き渡しまでの大まかな流れです。
不動産売買手続きのポイントとは
これら一連の流れの中で、優良な高利回り物件を手にするためのポイントは、ステップ1からステップ3までの「スピード感」です。優良物件には10件以上の買付けが入ることも決して珍しいことではないため、自分に売ってもらうためには、ステップ5の契約締結までをとにかく素早く動くことが重要です。
特に価格交渉で時間がかかっていると、あとから買付を入れてきた買主にもっていかれてしまうこともありますので十分注意しましょう。
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