資金計画:金利・融資期間による返済額
返済シミュレーションをする時には金利や期間、元利均等返済や元金均等返済など様々な条件があります。例えば、金利が高いほど、そして返済期間が長いほど返済額は増えていきます。これら借入条件の違いが、どの程度返済額に影響してくるのかなどについて、いくつかの具体的な条件のもと検証してみたいと思います。
比較@:元利均等返済VS元金均等返済金利2% 融資期間20年
まずは融資金額5,000万円、金利2%、融資期間が20年の条件で元利均等返済と元金均等返済のシミュレーションをしてみましょう。
元利均等返済は毎月の返済金額が均等になる返済方法です。支払い当初から最後の支払まで支払金額は同じになるため、最初は金利の割合が多く元金の割合が少なくなります。返済期間が経過していくことで徐々に金利と元金の割合が逆転していくことになります。
・元利均等返済:借入金額5,000万円、金利2%返済期間20年
支払金額:毎月252,941円
1回目の元金の返済額が169,608円、金利の支払額は83,333円となります。
金利の変動がなければ元金と金利を合わせた合計額の返済額は変わらずに、元金部分の返済額の割合が徐々に増えていき、最後の240回目の支払いでは元金返済額253,000円、金利支払額420円となります。
・元金均等返済:借入金額5,000万円、金利2%返済期間20年
支払金額:初回291,666円
1回目の元金の返済額が208,333円、金利支払額は83,333円となります。最初の返済負担が大きい。
元金均等返済では元金の返済額が1回目の返済額から最後まで変わりませんが、240回目の返済は微調整が入り208,413円になります。この毎月の元金の返済額は変わりませんが元金の残額に金利が適用されるため、金利の支払額が徐々に減っていきます。
比較A:融資期間 10年 VS 30年
金利2% 融資期間10年 元利 VS 金利2% 融資期間30年 元利
ここでのシミュレーションは、融資額5,000万円を元利均等返済、金利は同じ2%とし、融資返済期間を10年と30年でシミュレーションしてみます。
・返済期間10年:毎月の返済額 460,067円
ただ、返済期間が短いため返済総額は55,208,011円となり、金利支払総額は5,208,011円となります。
・返済期間30年:毎月の返済額 184,809円
返済期間10年に比べると半額以下になります。ただしこの金額を30年間、360回分を返済していくことになります。そうなると元金と金利を合わせた返済額の総額は66,531,359円となり、金利の支払総額は16,631,359円となります。
金利が同じであれば返済期間が短い方が金利の支払期間も短くなり、金利の支払総額も少なく抑えることができます。実際、融資額5,000万円、金利2%の場合で、返済期間が10年と30年では支払総額で1,000万円以上も開きがあります。
同じ金額、金利の融資を受けるにしても返済期間が長くなると、返済額の総額はかなり大きくなります。返済期間を短くすることとで、融資額の返済総額を低く抑えることができますが、毎月の返済金額が大きくなります。
ただし、不動産投資では返済金額だけでなく家賃収入に対する「返済比率」の方がより重要です。そのため、返済総額が少なくなるからといって無理な返済計画を立てると、返済比率が悪くなるため、余裕のある返済期間で借入れを行うよう心がけましょう。
比較B:金利1%、 4.5%
・金利1% 融資期間20年 元利 VS 金利4.5% 融資期間20年 元利
最後のシミュレーションでは、融資額5,000万円、元利均等返済、返済期間を20年とし、金利を1%と4.5%で比較してみます。
単純に金利が高い方が金利支払額も増えるので返済総額も大きくなるのですが、どれほどの差があるのか実際に検証してみたいと思います。
・金利が1%、返済期間20年:毎月の返済額 229,947円
この返済額が20年続くと返済総額は55,187,192円となり、その内の金利分は5,187,192円となります。
・金利4.5% 返済期間20年:毎月の返済額 316,324円
20年間の返済額総額は75,917,926円となり、その内金利の支払総額は25,917,926円となります。
金利が4.5%では金利1%と比較すると毎月の返済額の差額は86,377円となり、総支払額の差額は20,730,634円となります。金利4.5%では元金の1.5倍以上を返済することになり、金利が3.5%違うとかなりの差が出ることが分かります。
まとめ
・同じ5,000万円でも返済方式、返済期間、金利によって、毎月の返済額、総支払額が大きく異なる
・不動産投資において利回り計算をする際には、ローンの借入条件がすぐに計算できること
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