価格交渉
不動産投資で安定的な収益を上げて成功を収めるためには、「キャッシュフロー出る収益物件」を入手する必要があります。ですが、そもそもキャッシュフローの出る物件であれば、現所有者がそう簡単に手放したりはしません。では、どうすればキャッシュフローの出る=高い利回りの収益物件を入手する事ができるのでしょうか。
その答えは「価格交渉」です。
すなわち、高利回り物件は始めから市場に出回っているのではなく、価格交渉によって売買価格を値下げしてもらうことで、結果的に高利回りとなる収益物件を「作り出す」必要があるのです。
そこで今回は収益物件を入手するにあたっての「価格交渉」のポイントやテクニックについて解説したいと思います。
価格交渉の切り札となる売主の2つの「弱点」とは
不動産売買における価格交渉は、非常に高度なテクニックを必要とします。ただ、ポイントさえ押さえてしまえば、たとえ不動産投資の初心者だとしてもベテラン売主との価格交渉を制することは十分可能です。
不動産売買の価格交渉において最も重要な事は、相手、つまり売主の「弱点」を見つけてそこを攻めることです。不動産の売主には主に次の2つの弱点となり得るポイントがあります。
ポイント@売主の売却理由
まずポイントとなるのは、売主の「売却理由」です。すなわち、なぜ売主がその不動産を売ろうと思ったのかの「動機」が、価格交渉において非常に重要な要素となります。
弱点となり得る「動機」としては、主に次の通りです。
1:諸事情により賃貸経営を引退しようと思っている。
「賃貸経営が面倒になった」などの理由で売りに出している場合は、比較的売却のタイミングを急いでいる可能性があり、価格交渉が通る可能性が高くなります。できれば、なぜそう思ったのかまで詳しく聞ければよりベストでしょう。
2:相続対策として不動産を処分しようとしている。
一番お勧めがこの「相続」絡みのパターンです。相続を原因として不動産の売却を検討するケースとしては、以下の2パターンがあります。
・自分の死後に子供たちが不動産を奪い合うことになって遺産分割協議が難航することを防ぐために、予め売却して現金化しておき、遺産分割をしやすくするというパターン
・親の死後、相続税の納税資金が足りないため、不動産を売却して現金化するパターン
どちらのパターンでも共通していることは「売り急いでいる」ということです。売り急いでいる売主ほど価格交渉がしやすいため、交渉を有利に運ぶ事ができます。特に納税資金の確保のために売却を検討している場合は、相続開始後10ヶ月以内という期限があるため、なおさら価格交渉が通りやすくなります。
もしもこういった案件を見つけた場合の交渉上のポイントは、自分が「買える買主」であるとアピールする事です。このような案件には多くの不動産投資家や不動産会社が群がってきます。
そんな時に自分に優先的に売ってもらうためには、自分が確実に買える買主、つまり融資審査が通る内諾をすでに得ている、もしくは現金一括で購入できるといった情報を売主に伝える事が重要となります。
売主はたとえ指値が低くても、確実に買ってくれる買主を優先する傾向があるため、これについてはよく覚えておきましょう。
ポイントA不動産自体の弱点
実際に価格交渉をする際には、真っ向勝負で「100万円値引いてください」と言ったところで、それで価格が下がる事はまずないでしょう。売買価格を値下げしてもらうためには、必ずその「根拠」が必要になると考えましょう。
つまり「○○だから○○円安くして」という理由付けをすることで、価格交渉の成功率をぐっと高める事ができるのです。値下げしてもらうための主な「根拠」としては、次の2つの要素があります。
・管理状況や劣化状況
不動産自体の今現在の保存状態を細かくチェックして、もしも不具合があったり築年数以上の劣化が見られるような場合については、それを根拠として値引きを要求します。そのため、価格交渉をするためには、自ずと事前に物件現地を見学する必要性も出てきます。
できれば現地を見学した際に、リフォーム会社にも同行を依頼して、修繕が必要な箇所などの概算見積もりをとってもらい、その金額をベースに値下げ交渉をもちかけるとより説得力が増すでしょう。
・収益評価や積算評価からの価格交渉
もしも物件自体の保存状態が完璧だったような場合は、実際にその価格で収益評価を計算したり、積算評価を計算する事で、割高感があるようであれば値下げ交渉をしましょう。例えば一部屋あたりの家賃設定が周辺相場よりも低く設定してあるなどの事情があれば、それをもとに収益が低くなるとして価格交渉をもちかけることができるでしょう。
価格交渉は売主との「コミュニケーション」と「心理戦」
不動産売買における価格交渉は、店先で大根1本を値切るのとはワケが違います。大抵の場合、売主はある程度まで価格交渉されることを予測して募集価格を設定しています。そのため、適切に売主の弱点を突くことができれば、最低でも価格交渉を見込んで上乗せしていた金額程度は値引きできるはずなのです。
価格交渉には多少の経験も必要なため、最初のうちは苦戦するかもしれませんが、売主の話をしっかりと聞いて対応する癖をつければ、そのコツもすぐにマスターすることができるでしょう。
まとめ
・価格交渉しやすいのは、売り急いでいる場合と、建物管理に問題があるケース
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