不動産投資の表面利回り、実質利回りの違いを理解する

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表面利回り・実質利回りの違いを理解せよ!

不動産投資をする上で、利回りの定義については確実に覚えてください。これが理解できないと不動産投資を始める資格はありません。不動産投資では、常識的な用語ですが、正確に理解できていない方が多いので、確実に頭に入れてください。

 

まず、利回りとは、投資額に対してリターン(収益)がどれくらいあるかを測る尺度のことです。銀行にいけば、金利が1%とか表示されていますね。預貯金や債券、株式などの金融資産と同じものです。したがって、不動産投資における利回りは、投資額に対してどれほどのリターンが得られるかを見極める指標となります。

 

ところが、不動産投資の世界では、利回りの概念が2種類あります。表面利回り(グロス利回り)実質利回り(NET利回り)です。表面と実質と難しい用語に見えるのが、不動産用語の面白いところです。

 

表面利回りとは
表面利回りとは、収益不動産を扱っているポータルサイトで表示されている利回りです。通常、会話で話す場合にも利回りは、10%、15%と会話する際には、この表面利回りを指しています。それでは、この表面利回りが何かというと、年間の満室想定の家賃収入を物件価格で割った数字です。

 

表面利回り=【年間の満室想定の家賃収入】÷【物件価格】×100%=○○%

 

これは、投資する不動産の目安となる利回りです。何故、目安となるかわかりますでしょうか? 疑問を持って
この数式を見てください。

 

よく見ると、左側の家賃収入は、満室想定です。つまり、不動産業者が高く売るために空室の部屋の家賃想定を上げている可能性があるのです。不動産業者がつけた利回りであり、本当にその家賃収入が決まっているわけではありません。

 

したがって、この満室想定が正しいと思って賃貸経営すると後で痛い目に遭います。満室想定を見極めるのは「物件資料の読み方:レントロール(賃料表)」で詳しく解説しますが、このレントロール表を分析しないで投資をしてはいけないということです。確定利回りの金融商品ではありません。

 

そして、もうひとつ不動産投資では、考慮しないといけないことがあります。それは、経費です。金融商品では、経費を考える必要はないのですが、不動産投資には大きく経費がかかります。それも、どの収益不動産も同じ経費がかかるわけではないことが、重要なポイントです。

 

そのため、この経費を除いてみないと、比較できないよね、ということで実質利回りが出てきます。

 

実質利回りの必要性
不動産投資では、収益不動産によって経費が大きく異なると書きましたが、どのような経費があるかを挙げてみます。

 

【運営経費(ランニング費用)】
 空室損失費用、管理料、修繕積立金、固定資産税、都市計画税、修繕費用、水道光熱費、リース料、出張費用等

 

この運営経費で、物件の種類で差が出てくるのが、区分マンションや1棟RCです。区分マンションは管理料、修繕積立金が占める割合が大きく、この経費を差し引いた利回りを見ていかないと収支があうかわからないのです。

 

たまにこのような区分ファミリー物件を見かけます。

 

〇物件価格600万円、家賃6万円、管理費1万5千円、修繕積立金2万円
表面利回りの計算は下記となります。

 

表面利回り:家賃6万×12か月÷600=12%

 

これだけを見るととても高い利回りですが、管理費と修繕費を抜いた利回りを算出すると、

 

⇒(家賃6万円―(諸経費 管理費1万5千円―修繕積立金2万円)×12か月÷物件価格600万=5%

 

たったの5%まで落ちてしまいます。表面利回りだけみて12%だからいいなと思ってみたけど、管理費と修繕積立金を除いただけで5%まで下がってしまいます。私は、これでは投資対象とはみません。

 

もし別の区分シングルマンション物件(都心)ではどうなりますでしょうか。

 

〇物件価格800万円、家賃8万円、管理費8千円、修繕積立金7千円
表面利回りの計算は下記となります。

 

表面利回り:家賃8万×12か月÷800=12%

 

これだけを見ると区分ファミリー物件と同じ表面利回りです。しかし、管理費と修繕費を抜いた利回りを算出すると、

 

⇒(家賃8万円―(諸経費 管理費8千円―修繕積立金7千円)×12か月÷物件価格800万=9.75%

 

こちらの区分シングルマンションでは、管理費と修繕積立金を除いても10%近い利回りとなります。これが東京ではあれば、即買える物件です。表面利回りが同じでも、経費の額の違いでここまで収支が変わってきます。

 

これが、表面利回りと実質利回りの差と言われるものです。いろいろな物件を比較するときに、実質利回りを出さないと比較できないという意味が理解できましたでしょうか。

 

今は、管理費と修繕積立金しか経費に織り込んでいませんが、本来の実質利回りの計算は、他の経費も含まれます。

 

実質利回りの計算式
実質利回りを計算する際に織り込む経費は物件の運営経費と物件購入時の経費です。

 

【運営経費(ランニング費用)】
 空室損失費用、管理料、修繕積立金、固定資産税、都市計画税、修繕費用、水道光熱費、リース料、出張費用等

 

【購入経費(初期費用)】
 購入時の諸経費:不動産仲介手数料、司法書士手数料、印紙、登記費用等 

 

運営経費と購入経費を織り込んた計算式です。

 

実質利回り=(【年間家賃収入】−年間運営経費)÷(【物件価格】+購入経費)×100%=○○%

 

この実質利回りが計算できると、手取りが正確に計算できるようになります。物件の利回り比較が容易になり、投資対象の選別に活かせるようになります。ところが、この計算式は、簡単に見えて、難しい問題があります。

 

実質利回り計算上の問題点
表面利回りよりも実質利回りは、現実的な数字になり、収益物件同士の比較が容易になります。しかし、空室損失費用や修繕費用をどのように計算に含めるのかという難しい問題があります。立地、間取り、設備、環境、築年数などから予測する必要があります

 

とはいえ、この空室損失費用や修繕費用を正確に見積もりことは難易度が高く、この計算式にあてはめるためには、相当な労力が掛かってしまいます。そのため、この数式の意味合いは理解しておくとして、計算式通りに、実質利回りを計算するのは止めてしまってもいいと考えています。

 

実質利回りの経費は、あくまでも予測しないといけない空室損失費用や修繕費用があり、正確な登記費用等の慣れない計算をすることはハードルが高いからです。ここが難しくて実質利回りはよくわからないということになってしまうのです。

 

 

それでは、どのように実質利回りを考えればいいかを次の記事で考えていきます。まずは表面利回りと実質利回りの定義の違いを上記「実質利回りの必要性」の区分マンションの例を理解することが重要なのです。
 
まとめ
・表面利回りはあくまでも業者が提示している見込み利回りに過ぎない
・収益物件は、経費を除いた実質利回りで比較すべき
・しかし、実施利回りを本格的に算出するのは難しい

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