信用保証協会の責任共有制度について
保証協会付きの融資といえば、従来までは融資を保証する信用保証協会の審査が中心で、実際に融資を実行する銀行側の審査については、ほぼないに等しいほど緩やかな基準でした。
なぜなら、保証協会付き融資の場合、万が一融資先が返済不能に陥ったとしても、その「融資金額100%」を信用保証協会が保証してくれていたため、銀行側は信用保証協会の審査が通った時点で、その人に対する貸し出しリスクはなくなるため、ほぼ確実に融資をしていたのです。
ところが、平成19年10月から導入された「責任共有制度」によって、この流れが大きく変わってきました。そこで今回は、その責任共有制度の概要と、それによる具体的な影響について解説致します。
責任共有制度とは
責任共有制度とは文字通り責任を共有する制度で、「信用保証協会」と「銀行」が、融資によるリスクを共有します。
従来までは、保証協会付き融資の場合、融資に対するリスクの全ては信用保証協会が100%負っていましたが、責任共有制度の導入により信用保証協会の責任は80%にとどまり、残り20%は銀行がそのリスクを負うこととなりました。
責任共有制度の導入で何が変わったのか
この責任共有制度の導入により、一番影響を受けたのが保証付融資における銀行側の貸し出し審査です。以前は信用保証協会が100%保証していたため、銀行側の審査については形式的に銀行内の稟議などはあっても、プロパー融資の審査に比べれば、圧倒的に融資が通りやすい状況にありました。その影響からか、保証付融資の融資事故が増えたとも言われています。
その後、責任共有制度が導入されたことで、銀行側もたとえ保証付融資だとしても、信用保証協会が保証してくれるのは80%までに制限されてしまったため、20%は部分的にせよ回収が難しくなる可能性が出てきました。
これを受けて多くの銀行が保証付融資だとしても、信用保証協会の審査とは別に、銀行側も以前よりも厳しく審査をするようになったのです。
責任共有制度の2つの方式
責任共有制度には、そのやり方に2つの種類があります。
@部分保証方式
保証付融資において保証協会側が80%など一定の割合を保証する方式を言います。
A負担金方式
融資金額の保証については、信用保証協会が100%保証しますが、反対に銀行側は保証の利用実績に応じて、一定の「負担金」を信用保証協会に支払うことで実質的に責任を共有する方式を言います。負担の大きさについては、部分保証方式と同じです。
責任共有制度の導入による借り手側への影響
責任共有制度の導入によって、銀行側は従来よりも多少ないしリスクを負担することとなったため、貸し出しにあたっては以前よりも厳格に審査を実施するようになりました。
ただ、かといって、80%ものリスクを信用保証協会が負担してくれるため、銀行としては他の融資に比べれば依然として融資がしやすいことに変わりはありません。
また、信用保証協会に支払う保証料についても、融資額の80%相当額に対する保証料になるため、従来の100%保証付融資よりも保証料が割安になります。
まとめ
・責任共有制度の導入により、信用保証協会のリスク負担の一部を銀行側に負担
・責任共有制度は、銀行側の融資審査がよりシビアに審査するように変更
・以前は比較的多かった貸し倒れなどの融資事故も未然に防止できる
・銀行側は、なお80%も信用保証協会が責任を負担してくれる保証付融資は、融資がしやすい
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