不動産投資の売買契約時の公募売買について

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一般住宅の売買でも同じですが、収益不動産の売買時には、実測売買と公募売買と書かれていることがあります。土地を売買する際には、当然ですがその土地に値段をつけなければなりません。この際の値段の付け方には、大きくわけて2つの方法があります。

 

実測売買:売主の希望する坪単価やu単価を予め設定し、それを基準に売買契約を締結します。そして後日土地を測量して、その実測した面積に乗じて土地の売買代金総額を決定する方法、これを「実測売買」と言います。

 

公募売買:売ろうとする土地全体の総額を、登記簿上の面積を基準にして売主が希望する金額に設定し売却する方法、これを「公簿売買」と言います。後日登記簿上の面積と実測値に違いが発覚しても、売買代金は変動しません。

 

今回はこの2つの土地売買方法の違いや特徴について解説したいと思います。

 

実測売買とは
土地の値段を表す言葉に「坪単価」というものがあります。皆さんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。坪単価とはすなわち1坪あたりの土地の値段のことを言います。ちなみに1坪は3.3uです。土地売買の現場では坪単価が頻繁に飛び交っていますが、これは一坪あたりの金額を決めてそれを基準に土地全体の金額を見積もっているからです。

 

最近ではより計算がしやすい「1u単価」で計算する場合もあります。

 

例えばあなたがスーパーに買い物に行った際に、おいしそうなリンゴが特売になっていたとします。その際「一袋10個入り1000円」との記載があったとした場合、あなたはそれが安いのか高いのか瞬時に判別ができますか。

 

おそらく1袋なんて滅多に買わないですから、1袋の値段の相場なんて知りませんよね。ですが、リンゴ1個あたりの値段はよく知っているはずです。仮に1個110円だったとすれば、1袋1000円は100円安いという事がすぐに分かると思います。

 

つまり坪単価の考え方もこれと同じです。例えば近所の空き地を指差して「ここが5000万円の土地です」と言われても、比較するものがないため高いのかどうかよくわかりません。そこで1坪(又は1u)という単位を基準として値段をつけることで、さまざまな土地の値段の相場観が分かりやすくなるようにしているのです。

 

さて、話を戻しますが、実測売買とは要するに売買しようとする土地の広さを実際に計測し、それに坪単価を乗じて算出した金額で売買する方法です。

 

売買契約の流れとしては、予め坪単価又は1u単価を決めて先に土地の売買契約を締結し、その後土地の実際の広さを計測し、その広さに則り最終的な売買総額を確定させます。

 

 

公簿売買とは
これに対し公簿売買とは「公簿」つまり登記記録上の面積をベースに土地の売買価格を定めてしまうのです。この場合、後からその土地の広さを実測して万が一面積が登記簿上の面積と異なっていたとしても、予め定めた売買金額は変更しないというスタンスをとります。
売買契約書などに、坪単価や1u単価の記載がなければ公簿売買の可能性があります。

 

公簿売買の場合は万が一実測との面積に差異があっても、そもそも坪単価やu単価で売買しているわけではなく、Aという土地そのものに値段をつけて売買しているため後からわかった実測値は関係ないのが原則です。

 

【具体例で考えてみよう】

 

先ほどのリンゴの話に例えると、公簿売買とは、段ボールに詰め込まれたリンゴを1箱3000円で売っているのと同じことです。1箱にリンゴがいくつ入っているかは正確にはわかりません。もしかすると30個も入っていないかもしれません。あくまで「1箱」という単位に対して、3000円という値段をつけているだけなのです。

 

これが公簿売買なのです。ですから、買った後にリンゴが28個しか入っていなくても原則として文句は言えないのです。

 

ただし、公簿売買であっても契約条項などに、「後日実測して万が一過不足が生じた場合は、1u○円によって計算し売買代金を精算する」といった内容を盛り込んでおけば、万が一登記簿と実測にずれがあってもトラブルになることを防止できます。

 

公簿売買の場合は、実測をしませんので測量費用がかからないというメリットがあります。特に山林などの広大な土地の売買においては、測量費用が売買の際の大きな負担となるため、一般的には公簿売買によって売買されます。

 

公簿売買は、登記簿の情報にある程度の信憑性がなければ後日トラブルとなることが多いため、通常は地積測量図や現況測量図などの資料と照合するなどして、予め面積をよく確認したうえで行なうことをおすすめします。

 

しかし、売主からすると、実測売買は負担や時間のかかる手法で非常に嫌がられます。地積測量図などでトラブルがなさそうな土地であれば、公募売買でも問題ありません。多少土地が減ったりしたとしても、検査済み証があれば、問題はほとんどありません。

 

不動産投資家、賃貸経営者が買うのは、土地ではなく、収益の上がる仕組み(土地・建物)を買うことになります。そのため、トラブルを恐れて毎回実測売買でお願いしますというと、なかなか買えないのも実態です。

 

まとめ
・当然優れているのは、実測売買
・ただし、トラブルが少ないと判断できれば、公募売買でもよい

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