不動産投資では、宅地造成区域は注意して投資すること

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宅地造成区域は気を付けないといけない

不動産投資においてアパートやマンションを購入する際には、利回りや想定家賃などの収益面に注意が必要ですが、それ以外の土地や建物に関連する法律についても最低限の知識を知っておかなければ、あとから取り返しのつかないことになってしまう可能性があります。

 

そこで今回は、投資物件を購入する際に事前に知っておくべき「宅地造成工事規制区域」のポイントについて解説したいと思います。

 

宅地造成工事規制区域とは
宅地造成工事規制区域とは、宅地造成に伴って災害が生じる可能性が大きい市街地又は市街地になろうとする土地の区域であって、宅地造成に関する工事について規制をする必要があるものとして都道府県知事等が指定したもののことを言います。

 

要するに、この宅地造成工事規制区域内については、宅地造成に関して一定の規制がかかるということなのです。この宅地造成に関わる規制が、古い物件では結構な問題が発生するのです。そのため、古い物件の擁壁には注意が必要です。

 

 

基準に合致していない「擁壁」が多数存在する
宅地造成工事規制区域内において宅地造成工事をする場合は、技術的基準に適合する「擁壁」や「排水施設」などを設置して、宅地造成に伴う災害を防止するための措置を講じなければなりません。そもそもこれらの区域内は傾斜地になっているため、それらが崩れてこないよう、適切な対策を施しているのですが、稀にこれらの施設が技術的基準に合致していない場合があるのです。

 

特に注意が必要なのは「擁壁」です。擁壁とは簡単に言うと崖が崩れてこないように設置するもので、建築基準法においても崖崩れの可能性がある場合は擁壁を設置するよう規定しています。更に宅地造成等規制法の施行令では30度以上の傾斜地を崖とし、これに該当する場合は擁壁などの安全対策が必要としています。

 

ただし、実際の擁壁の中には技術的な基準を満たしていないものや、劣化によって強度が著しく低下したものなどが散見されるため、万が一宅地造成工事規制区域内の物件を購入する場合は、必ず現地を視察するなどしてその安全性をよく検討する必要があると言えます。

 

擁壁の安全性を見分けるには
高さが2mを超える擁壁をつくる場合は、建築基準法によると役所への確認申請が必要となります。ですが法律が制定される前につくられた古い擁壁や、確認申請をせずに勝手につくられた擁壁などが実際には多く存在しています。

 

これらの擁壁は「不適格擁壁」と言い、安全性が疑わしい非常にリスクの高いものということになります。そのため、どうしても宅地造成工事規制区域内の物件を購入する場合には、必ず擁壁の検査済証を確認するようにしましょう。

 

また、物件が古くて検査済証が見つからない場合は、役所に問い合わせることで、擁壁をつくった当時に確認申請がされているかどうかを確認してみましょう。なお、都市計画法の許可、検査を受けている擁壁の場合は、役所の開発登録簿を閲覧することで確認が可能です。

 

また、高さが2mを超えない擁壁であっても油断できません。これらの低い擁壁については、法律上擁壁をつくるにあたって確認申請の義務がないため、どの程度の強度があるのか疑問が残ります。その点についても事前に専門家に相談し、その耐久性などをチェックしておきましょう。

 

安全性が確認できない擁壁の具体例
比較的新しい擁壁の場合は、「鉄筋コンクリート造」や「間知ブロック積」のものが多く、これらについてはある程度の安全性があると推測されますが、古い擁壁にさらに積み増ししてつくった「増し積み擁壁」には注意が必要です。

 

増し積み擁壁はその現場を直接見に行くと、古い擁壁と新しい擁壁の境目がはっきりと分かります。このような擁壁は古い擁壁に対して設計当初想定していなかった土圧がかかることになるため、崩壊の可能性が高くなります。

 

このような擁壁で崩壊した場合、擁壁によって人や建物に被害を与えると損害賠償責任が発生します。そして、その擁壁を基準に合致するように作り直すには、かなり高額な費用(100万単位)がかかります。

 

したがって、宅地造成工事規制区域内の物件には、区域外の物件にはない特殊な設備が必要なため、擁壁や排水設備が基準を満たしているのかどうか、必ず購入前に確認するようにしましょう。

 

まとめ
・擁壁が古い場合には、擁壁の検査済みや擁壁の強度については十分に確認してから購入しましょう

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