建物の子供への贈与について

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節税対策:収益物件の建物部分を贈与する/3年内売却の効果

更地にアパートなどの収益物件を建築することで、かなりの相続税が節税できますが、これをもう少し応用するとさらに効果的な相続税対策が可能になります。

 

賃貸アパートを「相続」によって取得する場合に潜む「リスク」とは
賃貸アパートの建築が節税になる理由は、更地が貸家建付地になること、そして現金がアパート(貸家)になることによって、相続税を課税する際の「評価額」が大幅に削減できるからです。つまり、更地や現金で相続するよりも、貸家建付地とアパートに資産を組み替えして相続した方が、相続税が節税になるのです。

 

ただ、これには一つ落とし穴があります。それはアパートから生じる「家賃収入」です。

 

確かにこの方法を使えば、既存の資産についてはその評価額を大幅に抑える事ができます。しかし、賃貸アパートという「収益性」の高い資産に組み替えをしたことで、毎月一定の家賃収入が発生することになります。

 

もちろん借金の返済に充当しますが、早期に借金を完済したり、実質利回りが好調な場合は、本人の手元にどんどん現金が貯まり始めます。一見すると良いことのように聞こえるかもしれませんが、貯まった現金にはその金額に対してそのまま相続税が課税されてしまうのです。

 

つまり、相続税を節税するためにアパートを建築したのに、それによって現金資産が増えてしまったらせっかくの節税効果が薄れてしまうのです。

 

贈与によって計画的に次の世代へ財産を移転させることが重要
相続税を大幅に節税するためには、アパートを建築後、比較的早い段階で本人が死亡し相続が発生する必要があります。ですが現実はそう都合良くはいかないため、ここでは「贈与」という方法を使います。

 

すなわち、生きているうちに子供に「タダであげる」のです。これを生前贈与と言います。そうすれば、贈与してから発生する家賃収入については、子供の資産となるため相続税の課税対象から除外されます。

 

この生前贈与による節税のポイントは、建築費用ではなく「賃貸アパート」を贈与するという点です。例えば賃貸アパートを建築するための費用を子供に贈与してしまうと、建築費用そのものに贈与税が課税されてしまいます。

 

ですが、出来上がったアパート自体を贈与すれば、その課税評価額は相続税の時と同じく「相続税評価額」となるため、建築費用の最大50%程度の固定資産税評価額となるため、非常に合理的なのです。(※ローンが残っている場合の評価方法は、これとは異なりますのでご注意ください)

 

また、この際に土地も一緒に贈与してしまうと、贈与税の負担が大きくなるため、建物部分のみを子供に生前贈与し、土地については相続によって取得するようなプランがより効果的でしょう。

 

さらに、「相続時精算課税制度」を活用すれば、2500万円までは贈与税がかからないため、より負担なくアパート部分のみを子供に移転することが可能になります。

 

相続してから売買すると節税になるケース
仮に相続によってアパートを取得した場合は、その後についても節税するテクニックがあります。

 

それは「相続税の取得費加算の特例」の活用です。この制度は簡単に言うと、相続税の申告期限から3年以内に相続した財産を売却すると、納税した相続税のうち譲渡資産にあたる部分の割合分を売買の際の譲渡税の計算において、「取得費」として加算することができるという制度です。

 

仮に相続税の課税価格ベースで8000万円を相続し、相続税として1500万円を納税している人が、3年以内に相続した財産のうち相続税評価額6000万円の賃貸アパートを売却したとします。

 

この場合、1500万円のうち75%を取得費として加算する事が可能になります。

 

計算式:1500万円×(6000万円÷8000万円)=1125万円

 

これにより、1125万円分取得費が増える事になります。譲渡税の計算上、取得費が増えれば譲渡益が減ります。つまり譲渡税の節税になるという事なのです。

 

このように賃貸アパートを活用した節税方法は、単にアパートを建築すれば良いというものではなく、建築したあとのアパートをどのタイミングで移転させるのか、または売却するのかによって、課税される税金が全く変わってきます。

 

いずれにしても、今回ご紹介した知識を事前に知ってさえいれば、無駄な税金の発生は極力避けられるはずです。

 

まとめ
・賃貸アパートは、相続前に贈与すると節税になる場合がある
・相続後3年以内に売却すると、節税になるので、相続後3年以内に売却することも検討した方がよい

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