スムーズにいくための遺産分割のポイントを把握する

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基礎:遺産分割で気になるポイント

遺産分割がスムーズにいくケースばかりではなく、様々なトラブルが発生します。どのようなケースがあるかも事前に把握しておくといいでしょう。とにかく揉めることが前提なので、そのトラブルをなくすのが、経営者であるあなたの仕事であると考えてください。

 

法定相続分や遺言と異なる遺産分割したい
相続人全員が同意して遺産分割の協議が始まると、遺言内容や法定相続分とは異なる取り分で分割が可能です。

 

多くのケースでは、遺言書がある場合はできるだけ故人の遺志を尊重するようにしますが、例えば遺言書が書かれた当時とは状況が変わり、当時は価値のあった財産が相当値べりしていたり、当時は価値のあった有価証券が紙切れ同様の価値になってしまっているなどの事情もあるかもしれません。

 

また遺言書には記載のなかった新たな財産が見つかることもよくあります。事業をしている場合は遺言書を準備した後でも収入は発生しますから、そういった遺言にはない財産の取り分を取り決めることもできます。

 

このようなケースも多く、遺言に納得できない相続人が争いを始めれば、遺産分割が故人の意思通りにならないことはよくあります。亡くなる前の段階で家族に意思を明確に伝え、納得してもらう作業も重要であることがわかるでしょう。

 

 

遺産分割のやり直しはできるか
一旦有効に成立した遺産分割協議をやり直すことは基本的にできません。というのも協議した内容は権利者全員の合意で持って締めくくられ、誰かが勝手にやり直すことはできないからです。

 

しかしその権利者全員の同意があるならば話は別です。その場合は再び事案を一から検討して新たな合意を形成すべく話し合いを持つことができます。ただしこの場合、税務上のデメリットを受けることがあります。

 

一旦誰かに帰属した権利を他人に移す行為は税法上の贈与行為に当たるため、贈与税が適用されてしまう恐れもあるので注意が必要です。全員合意の再分割以外でも遺産分割協議が取り消されたり無効となったりすることがあります。

 

例えば権利者以外の者が遺産分割協議に参加した場合や、本来参加すべき権利者の一部が参加していなかった場合(後で隠し子が発覚した場合など)、あるいは民法上の取消事由がある場合などでは当初の協議の有効性が無くなってしまうこともあります。やり直しがないように、事前に段取りをしておくことが重要です。

 

 

遺産分割後に遺言が見つかったら
遺言の作成者は生前から遺言の存在を話しておくなど、遺言書が発見されないという事態が起きないように工夫しておく必要があります。それでも自筆証書遺言の場合は改ざんを恐れて存在を明確にしないなどのケースもあるでしょう。

 

もし遺産分割協議が有効に成立した後で遺言書が発見された場合少し面倒なことになります。もし権利者全員が「遺言書があっても当初の分割協議の内容でよい、異存はない」という場合はそのままで良いのですが、権利者のうち誰かが異を唱えた場合は当初の協議は無効になります。

 

当初の協議内容よりも遺言に従った方が有利な者がいればその者が異を唱える可能性は高いでしょう。また遺言書に遺言執行者が設定されていた場合、相続人の意思よりも遺言執行者の執行行為が優先されますので、発見された遺言の内容通りの結果に修正される可能性もあります。

 

遺産分割を禁止することもできる
被相続人となる者は遺言によって、相続開始後5年間は遺産分割を禁止することができます。相続人の中に学業に専念させたい者がいる場合や、成人して判断力が付くのを待ちたい場合、すぐに遺産分割が開始されると争いが起きやすいなど、何らかの支障が想定される場合に有効です。

 

遺言による分割の禁止の他にも、相続人全員の合意でもって分割を禁止することもできます。落ち付いてじっくりと分割協議をしたい場合や、事業用の資産を分散させないようにするためなど、取りあえずの措置として利用できます。

 

相続人同士の合意の場合は禁止期間は最大5年間ですが、相続人全員の合意の元で更新することが可能です。他に裁判所が関与して調停や審判でも分割が禁止されることがあります。

 

 

遺産分割で遺留分は考慮しないといけない
相続人には遺留分という権利があります。これは「最低取り分」というと分かりやすいと思いますが、遺留分権利者は遺言の内容が自分の遺留分を侵害している場合はその遺留分の請求権を行使することにより、他の相続人から自己の遺留分を取り戻すことができます。

 

遺留分の権利は行使して初めて有効になるので、権利者が遺留分の減殺請求をするなどしなければ他の権利者は特に影響を受けることはありません。分割協議をする場合も遺留分権利者が特に異存がなければ良いのですが、せっかくの権利ですから大抵は主張するでしょう。

 

その場合は最初からその権利者の遺留分を考慮して合意内容を取るまとめる必要があります。遺留分は、被相続人の直系尊属だけが相続人となる場合は遺産総額の3分の1、それ以外の場合は遺産総額の2分の1となります。なお被相続人の兄弟姉妹には遺留分の権利はありません。

 

こちのら遺留分が、相続トラブルでのかなり頻発するケースであり、遺留分を考慮し遺言を書いていないと遺言を書いたことがトラブルを招いているとさえいえます。知識がない中で、遺言を書くことのデメリットもしっかり認識しておきます

 

まとめ
・相続には様々なトラブルのケースがあり、事前の相続対策を家族に納得しながら進めることが何よりも重要
・遺留分は特にもめやすい権利ですので、遺言を書くときには考慮しておくこと

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