逓増定期保険を使った相続対策について

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節税対策:逓増定期保険を使った対策

生命保険の中の一つの種類として「逓増定期保険」というものがあります。逓増定期保険を個人の相続対策に応用していく方法について解説しますが、逓増定期保険は一般的には「法人の節税対策」として良く用いられており、資金がないと難しいため、やや応用的な使い方といえます。

 

逓増定期保険とは
逓増定期保険とは、簡単に言うと保険を契約してから保険期間満了までの間、死亡した際に受けとる事ができる死亡保険金の金額が、徐々に「増加」していく保険のことです。この保険は掛け捨てではなく、貯蓄性(解約返戻金)があるため、法人の節税対策だけではなく、個人の相続税対策としても利用できる場合があります。

 

逓増定期保険は法人の節税で使われる
逓増定期保険が法人の節税によく用いられる最も大きな理由は、支払った保険料のおよそ半分を損金として算入できるからです。これによって、利益を圧縮する事ができるため、結果的に法人税の節税になるのです。

 

また、先ほども言ったように逓増定期保険は保険料が掛け捨てではなく、解約した時には一定の解約返戻金が支払われるため、これを利用して従業員の退職金対策や経営の立て直し資金などとして活用することができます。

 

さらに、逓増定期保険は他の保険に比べ早い段階で解約返戻率が上昇するという特徴があり、保険契約をしてから数年後には、すぐに支払った保険料の満額が解約返戻金となります。

 

そのため、決算上は保険料を損金として算入するものの、事実上は「保険」という口座に保険料という名目でお金を貯蓄しているようなイメージになるため、法人の節税には非常に重宝する保険なのです。

 

逓増定期保険を使って、個人の相続税を節税する
では、逓増定期保険を使って個人の相続税を節税することはできるのでしょうか。

 

相続税対策の基本は、実際の資産価値よりも相続税の算定基準となる「相続税評価額」が低くなるものに資産を組換えることです。これを念頭において、逓増定期保険で相続税を節税するスキームを考えてみましょう。

 

ステップ1:個人で逓増定期保険を契約する
低解約返戻金タイプの場合と同じく、契約する際の注意点としては、契約者を被相続人となるように設定しましょう。例えば、父親の相続税対策として逓増定期保険を活用するのであれば、契約内容としては次のようになります。

 

保険契約者:父親
被保険者:子供
保険金受取人:父親

 

これで、子供が死亡した時のために、父親のお金で保険に加入した事になります。この際、保険料は全期間分を一括で支払います。

 

ステップ2:父親が死亡して相続開始
この場合、この父親名義の逓増定期保険は「相続財産」として扱われます。そして、保険契約者は被保険者である子供が引き継ぐ(相続する)事になります。

 

さて、問題なのはこの逓増定期保険がいくらで評価されて相続税が課税されるのかということです。例えば不動産であれば、路線価や固定資産税評価額によって相続税評価額が算出されますが、逓増定期保険の相続税評価額はその時点での「解約返戻金相当額」となります。

 

これが逓増定期保険を使った相続税対策のポイントとなります。

 

逓増定期保険の多くは、加入後数年間だけは解約返戻金が非常に低い水準でちょっとずつ上昇し、5年目程度で一気に上がるという性質があります。

 

仮に3000万円の保険に加入していたとした場合、加入後1?4年目程度までの解約返戻率は、概ね20%程度以下であることが多いため、万が一この間に相続が発生すれば、3000万円相当の価値がある逓増定期保険を20%のわずか600万円(その時点での解約返戻金相当額)を相続税評価額として計算して相続することができるのです。

 

逓増定期保険の注意点とは
逓増定期保険は、基本的には法人の節税向けの保険商品のため、良くも悪くも非常に保険料が高いという特徴があります。そのため、加入の仕方やタイミングを間違えると、上手い具合に節税できないことがあるため注意が必要です。

 

また、相続税対策のポイントとなる解約返戻率の推移は、保険商品によって差があるため、これについても予め良く確認しておきましょう。

 

まとめ
・逓増定期は、保険を掛けるタイミングが難しい商品ですが、タイミングが合えば効果を発揮する節税商品

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