ふるさと納税の仕組み
不動産投資いうと、減価償却費の活用や、法人化による所得の分散などの方法が比較的有名です。ただ、これらの節税手法はすでにやり尽くしていて、これ以上節税できないという不動産投資家の方も多いのではないでしょうか。
そんな方にお勧めしたいのが、不動産投資における節税で「第3の矢」となる「ふるさと納税」です。ちょっと意外かもしれませんが、実はふるさと納税は節税以外のメリットも多いので、知っておいて損はありません。
そこで今回は、不動産投資の節税に役立つふるさと納税の仕組みや活用方法について解説したいと思います。
ふるさと納税ってどんな制度なの?
名前くらいはご存知かと思いますが、実際に利用している人は少ないのではないでしょうか。「ふるさと納税」とは、簡単に言うと地方自治体に寄付することで、所得税や住民税が控除されるという仕組みのことです。
これだけ聞くと、単なる寄付のように感じるかもしれませんが、ふるさと納税のすごいところはここからです。ふるさと納税は寄付に対する「お礼」がもらえるのが最大の特徴です。
寄付した金額に相当する地方の名産品(肉、魚、野菜、酒、イベントチケットなど)を納税者自らがチョイスしてもらうことができるのです。例えば1万円程度寄付をすれば、その地域の旬の野菜がどっさりもらえるといったイメージです。寄付を兼ねた通販サイトのような感じになっているので、誰でも気軽に利用することができます。
ふるさと納税の上限金額とは
このようにある意味専用の通販サイトで買い物すると、それが経費になるような非常に便利なふるさと納税ですが、税金計算上の控除を受けられる金額は、投資家の所得に応じて限度額が設定されていますので注意が必要です。
【ふるさと納税の限度額計算式】
ふるさと納税の限度額=(住民税の所得割額×20%)÷(90%−所得税率)+2,000円
計算式が非常にややこしいのですが、オンラインの無料計算ソフトなどを活用すれば簡単に計算ができます。なお、その際には最低限、下記の給与所得と不動産所得の内訳が必要となります。
ちなみに、総所得はサラリーマン投資家であれば、給与所得と不動産所得の両方を足した金額となります。
【給与所得の計算方法 年収500万円のケース】
給与所得は給与等の収入金額から給与所得控除を差し引いた金額となります。給与所得控除は、収入に応じて変わります。例えば年収500万円の場合、計算式は次のようになります。
5,000,000×20%+540,000円=1,540,000
これを5,000,000万円から控除すると、3,460,000円となり、これが年収500万円の給与所得となります。
【不動産所得の計算方法】
不動産所得については、家賃などの収入から修繕費などの必要経費を差し引いた金額となります。例えば、年間の家賃収入が500万円あったとしても、リフォーム費用や減価償却などで200万円経費がかかったのであれば、不動産所得は300万円となります。
ちなみに、上記の条件で限度額をシミュレートすると次のようになります。
(住民税額 53.9万円 × 上限 20% )÷(90%−所得税率 20.42% )+ 2,000円=15.6万円
※2,000円は自己負担です。
総所得は給与所得500万円+不動産所得300万円で800万円となります。この場合、ふるさと納税前と後で税額が次のように変わります。
【ふるさと納税前】
所得税:65.9万円
住民税:53.9万円
合計:119.8万円
【ふるさと納税後】
所得税:62.8万円
住民税:41.7万円
合計:104.5万円
所得税と住民税の所得控除額はそれぞれ複数の計算式があり、いずれか低い金額となります。上記と同じ条件で計算すると次のようになります。
【所得税の場合】
1と2のいずれか低い方が寄付金の所得控除額となります。
1:15.4万円 =(ふるさと納税額 15.6万円 − 2,000円)
2:258.2万円 =(総所得金額等 646.0万円 × 40% − 2,000円)
よって、所得税の控除額は1の15.4万円となります。
【住民税の場合】
住民税は基本控除額と特例控除額の2つを合算した金額が税額控除額となります。
基本控除額:1.5万円 =(ふるさと納税額 15.6万円 − 2,000円) × 10%
特例控除額:1と2のいずれか低い金額となります。
1:10.7万円 =(ふるさと納税額 15.6万円 − 2,000円) × (90% − 所得税率 20.42% )
2:10.8万円 = 個人住民税所得割額 53.9万円 × 20%
よって基本控除額1.5万円と1の特例控除額10.7万円を足して12.2万円となります。
このように、ふるさと納税の限度額や減税効果を直接机上で計算するのはとても大変ですので、手っ取り早く知るにはオンラインの無料ソフトを活用すると良いでしょう。
まとめ
・計算式は複雑なため、税理士もしくはシミュレーションソフトを使って算出すること
・ふるさと納税はほぼ通販に近い買い物のような寄付によって、所得控除が受けられる
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