経費を制する:固定資産税、固定資産税精算金
固定資産税は、毎年物件を保有している限り掛かる税金です。物件売買時に期間に応じて固定資産税を按分するのですが、毎年に掛かる固定資産税とは、経費計上の考え方が異なるので注意しましょう。
科目 | 経費計上できるもの | 経費計上できないもの |
---|---|---|
租税公課 |
登録免許税 |
居住不動産にかかる各種税金(不動産取得税、登録免許税、固定資産税、都市計画税等
|
固定資産税について
固定資産税は、全額経費計上できます。
不動産投資に毎年かかる税金の1つに固定資産税があります。固定資産税というのは、市区町村の税金で、毎年1月1日に不動産を所有している人に掛かる税金です。
固定資産税は不動産を「持っていること」に対する税金ですから、不動産投資が赤字でもかかってきます。
経費計上できるから良い経費でもなく、あくまでも税金支払のために現金の支出が伴います。そのため、固定資産税が高い物件は、経費率が高くなるため、節税という意味では節税かもしれませんが、現金支出が発生しているのでキャッシュフローにはいいことはありません。
固定資産税は、できるだけ少ない方が賃貸経営にとっては、良いでしょう。
固定資産税が、家賃の1か月分を超えてくると、キャッシュフローとしてやや厳しくなります。固定資産税は、できれば家賃の0.5か月内、多くても家賃1か月内程度には抑えましょう。
・固定資産税の計算
原則として固定資産税の評価額×1.7%(固定資産税1.4%、都市計画税0.3%)となります。
住宅用地については、その税負担を軽減する目的から、課税標準の特例措置が設けられています。住宅用地の区分は小規模住宅用地(住宅1戸あたり200平米以下)と一般住宅用地(住宅1戸あたり200平米を越え、家屋の床面積の10倍までの部分)になります。
小規模住宅用地(住宅1戸当たり200u以下)は固定資産税の評価額の1/6に対して1.4%、1/3に対して0.3%で課税され、多くの不動産投資家の所有土地はこれに該当します。
また、新築の家屋については、様々な減免措置があります。細かいので省きますが、一定の床面積であれば、家屋部分の固定資産税の1/2が3年〜5年減免されます。
新築物件は固定資産税が最初の3年は減免されるため、経費が少なく、利益、キャッシュフローとも出やすいといえます。
売買時の固定資産税の精算金
固定資産税は1月1日における所有者が1年分納めるべきものではありますが、不動産の売買の慣習において、売主は買主にも固定資産税の負担を求めることができるとしています。
不動産の譲渡日からその年の12 月31 日もしくは3月31日までの期間に対応する固定資産税相当額を、売買金額とは別に買主から受領する慣習が定着しています。これが不動産売買における固定資産税の精算処理です。
そして、売買時の固定資産税の精算金は、即全額経費計上できず、減価償却の対象となります。
売買時の固定資産税の精算金は、なぜ経費化できないのと、多くの大家から聞かれるのですが、税務署からの通達で「支払った固定資産税精算金は、取得した賃貸不動産の取得価額を構成すること」とあるためです。
つまり、売買額に固定資産税精算金を上乗せした金額が、本来の売買金額ですよ、ということになります。
(例)売買価格1億円の不動産を6月30日に引渡し、年間の固定資産税が100万円である場合
・年間の固定資産税100万円は1月1日における所有者・売主が1年分を全て支払います。
・買主は7月1日〜12月31日までの固定資産税100万円×6/12=50万円を売主に支払います。
・精算した固定資産税は税法上は精算の必要がないため、売買価格に含めて処理します
結果、売主は1億50万円で売却したこと、買主は1億50万円で購入したものとして処理します。
つまり買主はこの50万円を購入年度の経費にはできず、減価償却により耐用年数に渡って経費化します。
※地域によって、精算の起算日を1月1日ではなく4月1日とすることがあります。
まとめ
固定資産税は、経費となるものの、現金支出も大きくなるので、収入に対する割合が大きすぎるものは止めましょう。目安としては、物件家賃の1か月分までにしてください。
また、固定資産税精算金は、即時経費化できない支出ですので、間違えて経費に入れないよういしましょう。
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