高齢の不動産オーナーは、認知症対策が必須

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高齢資産家が相続対策で新築アパート建設する場合の保険

高齢の資産家が、相続対策として新築アパートを建設する場合があります。このようなケースでは、家族信託を使って保険を掛けておくことが重要です。家族信託の利用価値が高い理由は大きく分けると次の2点です。

 

1:将来の認知症などのリスクに備えて、事前に対策ができる。
2:自分に万が一のことがあった際に、「誰に」「何を」してほしいのかを明確にできる。

 

この2つのメリットが大きく活かされるケースとして、高齢者の新築アパート建設があります。この対策をしていないと、銀行や建設業者に多大な迷惑をかけることになります。

 

アパート建設中に本人が認知症になってしまったら
昨今では認知症患者の人数は全国的に見ても増加傾向にあり、高齢のご家族をお持ちのご家庭にとっては、いつ認知症を発症してもおかしくないという現実があります。

 

そしてこの認知症リスクは、普段の買い物などその場で完結するような契約事については問題ありませんが、長期的なスパンで行なうような契約手続きについては注意が必要になってきます。

 

認知症リスクを具体例で考えてみましょう

 

高齢のXさんがハウスメーカーからの勧めもあり、古くなった自宅を取り壊して住居兼用アパートの建築を思い立ちました。この時点ではだれもXさんが認知症になるとは疑いもしませんでした。工事は着々と進み、古くなった自宅は取り壊され、新築アパートの建築確認も無事におり、建物の建築も着々と進みました。

 

Xさんは引き渡しに向けて銀行とローン契約をする予定でしたが、ここでなんとXさんに認知症が発覚したのです。認知症の進行は思いのほか早く、現在ではまともに話もできないような状態になってしまいました。
このようなことは実際に発生しうる話です。

 

このケースでは、建築請負契約当時には正常な判断能力があったのですが、その後、引き渡しまでの間に発症した認知症によってその後のローン契約などが不能になってしまい、結果としてアパートの建築がストップします。

 

このような事態を回避するためも、やはり家族信託を活用する必要があるのです。

 

新築工事を発注する際の家族信託のスキーム
新築工事を発注する際には、下記のように具体的に家族信託のスキームを活用することになります。

 

ステップ1:Xさんが委託者となって自宅の土地と新築するアパートを長男Yに信託する。

 

ステップ2:長男Yは信託契約の内容に則り、アパート建設に関する一切の行為を受託者としての権限において行なう。

 

ステップ3:信託の終了事由をXさんの死亡とし、Xさん死亡の際には信託が終了し信託財産であるアパートは長男Yに帰属する。

 

このような家族信託のスキームを予め組んでおけば、万が一途中で本人が認知症になったとしても、受託者である他の家族が滞りなく手続きを進めてくれます。

 

新築工事において家族信託を利用する際の注意点
このように予め想定されうるリスクに備えて家族信託を利用する場合は、予め取引に関係してくるローン先の金融機関や建築請負会社に対して、事前に家族信託を利用する旨を話して理解を得ておくことが重要です。

 

家族信託という手法は、まだそこまで一般化していないため、金融機関や建築会社によっては理解を示さない場合もあります。法的な仕組みは上記の通りですが、事前に理解がある取引先でなければ、結局のところ面倒なことになる可能性があります。

 

そのため、家族信託を用いる際には、予めその旨を伝えて、万が一の際には誰が受託者となるのか等についても事前によく説明しておくと、よりスムーズに手続きが進むでしょう。

 

なお、成年後見制度を使うという方法もありますが、この場合は、本人の保護が最優先となるため、仮にXさんが認知症になる前に長男Yと任意後見契約を結んでいたとしても、Xさんが認知症になった後に後見人であるYがX名義で銀行からローンを借り入れたり、抵当権の設定契約をするのは事実上家庭裁判所が許可しない可能性があります。

 

このように、建物を新築する際には、請負契約の締結以外にも、ローンの借入や登記、引き渡しなどさまざまな手続きがあり、これらに柔軟に対応できるためのリスク管理が求められます。

 

そしてそれを実現できるのは、家庭裁判所の厳しい監督制限を受ける成年後見制度ではなく、本人が定めた信託契約の内容に沿って家族が独自に管理運用できる「家族信託」なのです。

 

まとめ
・高齢の資産家が、相続対策として新築アパート建設を始める時には、家族信託を保険代わりに行うこと
※高齢の不動産オーナー・賃貸経営者で認知症のリスクが高い場合は、賃貸経営の大きな障害になりますので、問い合わせを受付しています。

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