公務員の不動産投資:資産管理法人を使って拡大する
公務員が不動産投資をしていく上での一つの選択肢として、「資産管理法人の設立」という方法があります。資産管理法人を上手に活用すれば、公務員特有の課題でもある「副業禁止規定」を回避しつつ、効率的な資産運用が実現します。
そこで今回は、「資産管理法人」の活用方法やそのポイントなどについて解説したいと思います。
資産管理法人とは
資産管理法人とは、一言で言えば、自分自身の不動産を管理してくれる会社のことを言います。とは言え、いわゆる不動産管理会社のことではなく、ここでいう「管理」とは、法人自体が不動産投資の「主体」となるという意味です。
通常、不動産投資をする際には、自分自身の名義で銀行から融資を受け、そして自分自身の名義で不動産を所有します。これに対し、資産管理法人を不動産投資に活用すると、これらの名義がすべてあなたの設立した会社名義となります。
このように、資産管理法人とは、会社名義で不動産を所有し、資産運用する一つの方法と捉えると分かりやすいでしょう。
公務員が資産管理法人を設立する際に注意すべき3つのポイント
ポイント1:代表取締役と株式保有割合
資産管理法人を設立すると、不動産投資の主体はその会社となり、公務員個人が営む事業とはならないため、副業禁止規定をクリアすることができます。
ただし、資産管理法人の代表取締役や役員を公務員とすると国家公務員法に抵触する恐れがあるため、公務員が資産管理法人を設立する際には、必ず「配偶者」を代表取締役にするよう気をつけましょう。
また、配偶者を代表取締役とする際に、発行株式の取得割合までもすべて配偶者としてしまうと、今度は不動産投資をする際に必要となる「銀行融資」がつかなくなる危険性があります。
そのため、代表取締役を配偶者とし、株式については公務員自身が100%保有するという形をとることをおすすめします。(銀行によっては公務員の株式保有割合が50%程度だとしても、融資がつくケースもあります)
ポイント2:役員報酬と給与の設定
せっかく資産管理法人を設立しても、公務員自身に会社から役員報酬を出してしまうと国家公務員法に抵触する恐れが出てきます。そのため、資産管理法人の役員報酬については、公務員を退職するまでゼロに設定しておきましょう。その代わりに、代表取締役である配偶者に対して、給与という形で支給することで、資産管理法人の利益をコントロールし節税すると良いでしょう。
ポイント3:資産管理法人の本店所在地
通常、一般の方が資産管理法人を設立する際には、概ね自宅を本店の所在地として登記しますが、公務員の場合は万が一役所や税務署などの調査が入った際に、登記先の住所が自宅だと何かと問題が大きくなる可能性が懸念されるため、実家などできる限り違う住所で本店登記するようにしましょう。
資産管理法人っていくらで設立できるか
資産管理法人の形態には、主に次の2つのパターンがあり、それぞれ以下のような費用がかかります。
1:株式会社の場合
資本金…1円以上
会社定款用の印紙代…4万円(行政書士に依頼して電子定款を作成すれば不要です)
公証人認証手数料…5万円
謄本交付手数料…数千円程度
登録免許税…15万円(資本金の額×0.7%)
株式会社は従来まであった資本金の最低金額の規定が撤廃されており、1円でも設立が可能になっておりますので、最低で「25万円」もあれば、株式会社の資産管理法人の設立が可能です。
2:合同会社の場合
出資金…1円以上
会社定款用の印紙代…4万円(行政書士に依頼して電子定款を作成すれば不要です)
謄本交付手数料…数千円程度
登録免許税…6万円(資本金の額×0.7%)
このように合同会社の場合は、登録免許税が安いので「10万円」程度でも設立が可能です。単に資産管理の主体を法人に移すだけであれば合同会社でも十分ですが、公務員の場合は、株式会社で設立することをおすすめします。
細かく言えば、合同会社は、出資者は社員という扱いになりますが、この時に業務執行権を付与しない形にする必要があります。やや、合同会社の場合は業務執行を疑われやすいので株式会社の出資のみの方が、より安全ではないかという考え方です。
資産管理法人は「経費」の幅がグンと広がる
個人で不動産投資をすると、「経費」として認められる範囲は非常に限定的となります。これに対し、資産管理法人の場合は利益に対して支払われる支出については、原則すべて損金として扱うことができるため、個人の時よりも利益を圧縮して節税することができるのです。
さらに、会社名義で保有している減価償却資産については、そのすべてを事業用として減価償却費を全額経費計上することができます。個人の場合のように、「事業で使っている部分だけ必要経費」というルールはないため、とても有利となります。
このように、資産管理法人を不動産投資に活用すると、公務員の方にとっては特に多くのメリットがあると言えます。以前はネックとされていた設立費用も、法改正によりグンと安くなっていますので、是非一つの選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
・副業対策として最もポピュラーなのは、資産管理法人で公務員本人は出資のみの形式
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