賃貸管理会社の理解:滞納補償・サブリース
賃貸管理会社によっていは、滞納補償やサブリースといったサービスを行っている会社があります。
各社によってサービスの内容は異なるものの、メリット、デメリットとも大きいのでしっかり把握してから利用するようにしましょう。
滞納補償
滞納が出たときに、入居者に代わって家賃を代納してくれる「滞納保証」です。滞納保証付きの管理委託の場合、管理会社が審査した入居者が家賃を滞納した際に、その家賃を保証してくれます。ただし空室の保証はありません。この場合は賃料の5%〜7%程度となります。
このサービスは、家賃保証会社の機能を管理会社で行っているのと同じサービスとなります。家賃保証会社の場合は、家賃の1か月分、家賃の0.5か月分等の支払額によって補償額も変わってきますが、1年か2年に1回保証会社に支払う形になります。
賃貸管理会社が行う滞納補償は、毎月の賃料に対して5%〜7%ですので家賃保証会社を利用した方がいいかどうかは、2年分のコスト比較をするといいでしょう。
例)家賃5万円
保証会社(2年毎) :家賃1か月分 ⇒5万円 (入居者負担)
管理会社の滞納補償 :5万円*0.05*2年分(24カ月)=6万円 (大家負担)
このケースでいきますと、保証会社よりも管理会社の滞納補償の方が高くなります。
また、管理会社の滞納補償は、大家負担であるのに対して、保証会社の費用は借りる側が負担することが大半です。つまり、管理会社の滞納補償は、大家にとって高いサービスです。
空室が多く、保証会社にすべて断れた入居者でも、管理会社が補償してくれる場合には、サービスを受けてもいいと思いますが、基本は、家賃保証会社を利用するといいでしょう。
サブリース
サブリースとは「借上げ転貸(又貸し)」のことです。滞納補償は、入居者が滞納した場合にしか補償されませんが、サブリースの場合は、借上げ転貸のため、空室であっても家賃が補償されます。
サブリースの場合、借上げし、空室であっても決まった賃料を大家に支払います。従って実際に入居する者に対する貸主は管理会社になります。
サブリース契約の場合、管理費用は賃料の10〜15%程度となります。なお、サブリースには免責期間が設定されており、その期間、管理会社は保証の義務を免除されます。
また、サブリースは、賃貸管理会社として部屋づけが可能と思われる築浅や人気のある物件であれば引き受けてくれますが、築古になってくると引き受けない、または家賃査定が低いものとなります。
サブリースには、建物全体のサブリースか、1部屋単位のサブリースがあります。
・一括サブリース:建物全体を大家から一括して借り受け、家主には建物全体の賃料を払います。
・一部屋サブリース:建物の1部屋を大家から借受、その部屋のみ賃料を支払います
【サブリースのメリット】
・賃料収入が確定している
・空室や募集に悩まなくていい
・滞納リスクがない(管理会社がつぶれない限り)
【サブリースのデメリット】
・一括サブリースは、既存入居者の家賃の査定が低くなるため、家賃総収入が大きく下がる
・一部屋単位のサブリースは実施している管理会社がほとんどない
・更新ごと(2年、3年等)に家賃の見直しが入る。最初だけ家賃査定が高くても将来的に家賃が落ちる
・免責期間が2ヶ月から6か月程度ある
・現状回復やリフォームについて管理会社の指定となり高くつく
つまり、管理会社も営利企業ですので、損しない仕組みとなっています。2年契約で半年の免責期間があれば、ほとんど損しないようにできています。万が一、利益があまり取れない場合は、原状回復費用やリフォーム費用に上乗せすることが簡単にできていしまいます。
多くの場合は、現状回復やリフォームを管理会社指定で行わないと契約解除されることになりますので、基本的には、いいなりになってしまいます。
結論からいえば、サブリースは、なかなか大家側で利益を出すのは難しい商品です。
既存の家賃をいじらない一部屋単位のサブリースですと一部屋だけに限定されるため、リスク回避で使うことは十分に効果がでますが、ほとんとの管理会社では取り組みがないのが実態です。
サブリースを検討するのであれば、下記ポイントはチェックしてください。
【チェックポイント】
@契約期間:短い期間ではなく20年単位等になっているか
A契約賃料:すべての部屋の家賃を確認し、既存入居者の家賃がどこまで引き下げられているか
B更新:何年更新になっているか。2年更新ですと、2年後に契約賃料を下げられることを意味しています
C免責期間:2〜6か月ですが、短い方がいいです。4か月以上ですとメリットがあまりでません
D原状回復費用:管理会社指定となっているか大家に自由度があるかどうか。おそらく管理会社指定となっているので、高くつくことを意味します。
まとめ
管理会社の滞納補償よりは、家賃保証会社を使う方がメリットがあります。管理会社としては、自社の滞納補償をお勧めしてきますが、よくコスト比較をしてみましょう。
サブリースは、一部屋単位のサブリースでは、現状回復コストも限定され、稼働率があがるため収支が良くなる可能性が高いですが、一括サブリースはデメリットの多い商品です。よく確認しましょう。
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