出口戦略
※この記事における法人保険の損金算入割合等に関する税務上の扱いは、2019年2月以前の旧通達に基づく見解となります。2019年2月以前に加入している人はいまでも旧通達に基づいていますので、下記記事が参考となります。
※2019年6月末に国税庁が新たな通達を発表しました。これにより、損金の扱いが大幅に変わってきており、今後加入する法人保険の商品を節税としての活用は、難しくなってきています。
※保険会社各社も新商品の販売を行っておりますが、詳細は各保険会社にお問い合わせください。
※新たな通達のルールの概要については、国税庁HPにおいて通達をご確認ください。
戻ってくる解約返戻金の使い方、つまり出口でどのように使うかを事前に決めておきましょう。出口にどう活用するかが決まっていないと節税効果が半減してしまうので、出口戦略が重要となります。
解約返戻金は益金になる
保険の解約時に解約返戻金を受け取った場合、法人では雑収入となり益金となるため、課税対象となります。入口では、保険料支払いが全額や2分の1損金等になっても、解約時に戻ってきた資金に税金が掛かるのであれば、課税の先送りに過ぎないとなってしまいます。
そのため、解約時に解約返戻金の使い道としてどのような候補があるのか検討しておく必要があります
不動産経営者の解約返戻金の使い道
- 再度保険に加入する:賃貸経営の場合、順調に経営していると毎期同じように利益が上がってくるので、再度同じ保険に入って、節税していくことが一番多いケースになります。その場合でも再投資は、すべて解約するのではなく、毎年少しずつ解約して新しい保険に入りなおす方法が再投資としては無難な方法となります。
- 大規模修繕・大型リフォーム:保有している物件の外壁や、エレベーターや機械式駐車場などの設備を更新するのに使うのも有効な方法です。こちらも、すべての保険を解約するのではなく、必要な金額だけ解約して、費用にあてることが一番いいでしょう。減価償却の対象になるので、使った金額がすべて1年で償却されるわけではないので、課税所得はあがるので、他の対応策もあわせて実施することになります
- 収益物件の購入費用:解約返戻金を全額戻すような場合は、新規物件の取得などを行うといいでしょう。新規物件の購入時は、不動産取得税や購入に関わる諸経費、建物の減価償却、利息分まで経費が掛かってくるので、雑収入と費用の関係をよく考慮して解約返戻金を戻すといいでしょう。
解約返戻金を解約の仕方
- 分割解約を利用する:何年か分の保険料を掛けていると大きな金額になるため、一気に全額を解約するのではなく、時期をずらして一部解約をすると利益調整がしやすくなります。
- 事前に分割して契約する:1本の契約で大きな金額を契約するのではなく、何本かにわけて契約する方法も考えられます。部分解約よりも、分けた本数によって使い道をわけておくこと(リフォーム用、再投資用等)もできるので、利益も調整がしやすくなります。但し、大口割引(保険金額:3000万、5000万、1億)等の割引が受けられなくなるので、保険料や返戻率で不利になる場合もありますので商品をよく確認しましょう
- 失効手続き:今期は解約返戻金をほしくないが、解約返戻金をピークに合わせたい場合は、ピークのタイミングで失効手続きをすれば、保障はなくなってしまうが、解約返戻金をピークの状態で維持することができます。2年以内等であれば、再度保険料を支払えば保障が復活できる場合があります。
まとめ:不動産経営者にとっての出口戦略は様々です。保有物件や拡大していくのか、利益額など決算は各自様々であり、将来的な戦略は、各様であるため一概にはいえないが、上記の仕組みは理解したうえで使うといいでしょう。単に、保険の代理店の意見をうのみにするのではなく、不動産経営がよくわかっている人の意見も参考にしながら保険を設計していくといいでしょう。