売却の基本的な流れ
収益不動産をスムーズに売却するためには、予め売却の基本的な流れを知っておくことが大切です。そこで今回は、収益不動産を売却する際の基本的な流れと、収益不動産だからこそのポイントについて解説したいと思います。
まずは売却の大まかな流れを知ろう
収益不動産に限らず、不動産を売却する場合は概ね以下のような流れで進行します。
ステップ1:不動産会社を探す
ステップ2:査定を依頼する
ステップ3:媒介契約を結ぶ
ステップ4:募集開始
ステップ5:購入希望者と条件交渉
ステップ6:売買契約締結
ステップ7:決済、引き渡し
このように、収益不動産の売却も大まかな流れとしては、通常のマイホームの売買時と変わりません。ただ、収益不動産の場合は、その要所要所でマイホームとは違った特徴や難しさがあるため注意が必要です。
それでは、この点を踏まえて、これら7つのステップのポイントについて細かく検証していきましょう。
ステップ1:不動産会社を探す
実需の場合は、その物件の販売元の不動産会社や比較的大手の不動産会社に任せておけば、概ね問題なく売却できます。これに対し、収益不動産の場合は、不動産会社によって成約価格に幅が出やすいため、できる限り広い視野で募集をお願いする不動産会社を選定する必要があります。
売買を得意としている不動産会社の多くが、得意としているエリアや価格帯、築年数などの条件に違いがあるため、それらを良く聞いた上で自分の収益不動産とマッチングしている不動産会社に依頼すると良いでしょう。
ステップ2:査定を依頼する
価格査定については、できる限り多くの不動産会社にお願いするようにしましょう。最近の不動産会社は、査定を依頼すると喜んで無償で査定してくれます。ですので、まずはさまざまな不動産会社の意見を聞いてみると良いでしょう。
但し、この際に提示される査定額は、不動産会社の営業的意味合いも加味されているため、実際の市場相場よりも若干高めの金額で査定されることがほとんどです。そのため、査定された金額をそのまま鵜呑みにせず、査定額よりも若干低い金額が成約価格であると考えましょう。
ステップ3:媒介契約を結ぶ
査定を依頼した結果、最も価格が高くて、かつ、その根拠に説得力のあった不動産会社と媒介契約を結びましょう。媒介契約には次の3種類があります。
1:一般媒介契約
複数の不動産会社に同時に募集を依頼できます。広く募集ができる反面、不動産会社も他社で決められてしまうリスクを負うため、本腰を入れて広告をうたない傾向にあります。
2:専任媒介契約
不動産会社に媒介を依頼すると、通常はこの専任媒介契約を不動産会社から勧められます。契約期間最長3ヶ月で、その間は他の不動産会社に重ねて依頼をすることができなくなりますので注意しましょう。その分、不動産会社は本腰を入れて募集をしてくれます。
3:専属専任媒介契約
概ね専任媒介契約と同じですが、売主の知り合いなどに売却するような場合についても、その不動産会社を通して売却しなければならないほど、縛りの厳しいものになります。通常は、すでに買主希望者の目星がついているような場合に交わします。
媒介契約は一概にどれが良いというものではなく、どのような内容の収益不動産を売却するのかによって使い分けるのがベストです。
例えば、利回りもよく、物件評価が高い場合は、一般媒介契約でも不動産会社はしっかり募集してくれます。
反対に、築年数が古く買主に融資がつくかどうか微妙なラインの場合は、不動産会社に本気を出してもらう必要があるため、専任媒介契約の方が良いでしょう。
ステップ4:募集開始
募集の方法は概ね不動産ポータルサイトへの広告掲載による反響待ちとなります。ただ、多くの不動産会社は、まずは取引のある不動産の買い取り業者に連絡をし、買い取り可能かどうかの打診をします。
ここで価格が折り合えば、広告を出す前に話がまとまるケースもあります。
また、より高く不動産を売却するためには、不動産会社同士のデータベースである指定流通機構(レインズ)に物件情報を登録してもらう必要があります。特に、専任媒介契約や専属専任媒介契約を結んだ場合、レインズへの登録は不動産会社に義務化されています。
なお、レインズは一般消費者ではログインできないため、きちんと情報が登録されたことを確認するために、不動産会社から証明書の交付を必ず受けるようにしましょう。
ステップ5:購入希望者と条件交渉
買付申込書が届いたら、その内容を確認しましょう。また、この際買主が融資を利用する場合は、融資がまとまらず、他の金融機関で融資を出し直すケースもあり得ますので、決済まで十分な期間を確保する必要があります。詳しくは、不動産会社と細かく打ち合わせをしましょう。
また、収益不動産の場合はマイホームと違い、購入の条件として空室の家賃保証や管理会社の解約、引継ぎ、リフォームの有無などを提示されることがありますので、不動産会社と相談して慎重に進めましょう。
既存の賃貸管理会社の解約を買主が希望している場合は、必ず賃貸管理委託契約書を確認しましょう。管理委託契約の解約には、違約金が発生するケースもあるため、必ず事前に確認した上で買主に返答しましょう。
ステップ6:売買契約締結
売買契約は買主の気が変わらないうちに、できる限り早く締結するようにしましょう。また、契約から決済までの間に入居者の入退室などが発生した場合は、必ず買主にもその情報を伝えて共有するようにしましょう。
入居者の退去は、利回りに直撃して影響するため、この報告が漏れるとあとあとトラブルとなる恐れがありますので注意してください。
ステップ7:決済、引き渡し
収益不動産の決済については、不動産会社に委任状を渡して代理で行なってもらうことが多いようです。そのため、決済日当日は入金を確認する程度で特段することはありません。
それよりも、契約から決済までの間にその物件で生じた出来事などについては、その都度買主とも情報を共有することが重要です。そうすることで、認識の違いからくるトラブルの多くを防止することができます。
収益不動産を売却する際には、これら7つのステップのポイントをしっかり押さえておきましょう。
無料メルマガ登録:大家の味方
売却の基本的な流れ 関連ページ
- 追い込まれてから売ると物件は安くなる
- 高属性の人は、売りづらい物件を買っている場合がある
- 売却とはいつ考えるのか
- 売却はシミュレーションで判断できる
- デットクロスの恐怖:築古アパートのケース
- デットクロスの恐怖:新築木造アパートのケース
- 構造別に売りやすい時期がある
- 収益不動産の売却価格はどのように決まるか
- 媒介方法によっても売却価額は変わる
- 大手と収益専門会社と町の零細不動産屋の特徴
- 高く売るための戦術:満室&管理
- 高く売るための戦術:ターゲットは初心者&法人
- 高く売るための戦術:融資の出る金融機関の融資状況を確認する
- パートナーとなる不動産会社の決め方
- 売却時の税引き後キャッシュ(手残り)を理解する
- 個人は、長期譲渡の時期まで待ってから売却する
- アパート売却で課税業者(個人・法人)になる