資産管理法人の評価引き下げについて

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節税対策:資産管理法人の評価引き下げ

資産管理法人の節税対策において、避けては通れないのが「自社株の評価対策」です。最近では、節税のために法人を設立して節税している人が多くいますが、たとえ資産管理法人だとしても、相続が発生すれば自社株式は一定の評価額がつくため、相続税が課税されてしまいます。

 

市場取引相場がある上場株式の場合は、その株価を調整して節税する事はほぼ不可能ですが、自社株式の場合は事前に対策をとって株式を移転することで、発生する税金を極限まで引き下げることができます。

 

自社株式の価額を引き下げる
自社株式の評価方法は、その会社の規模に応じて、類似業種比準価額方式、純資産価額方式、配当還元方式などがありますが、不動産所有者が自身の資産管理のために設立しているような「資産管理法人」の場合は、通常純資産価額方式によって株価を評価します。

 

純資産価額方式による評価方法とは、簡単に言うと会社の正味財産である純資産を株式総数で割って求めます。そのため如何にして純資産を引き下げるかが、株価引き下げのポイントとなります。

 

@自社株相続対策:含み損の売却
含み損とは、会社が所有する資産の簿価が実際の市場価格(いわゆる時価)を上回っている状態を言います。要するに、買った時の値段よりも値下がりしている場合に発生している実質的な損失を「含み損」と言います。

 

法人名義で保有している不動産の中でこの「含み損」が発生しているものがある場合は、これらを売却することで、含み損は売却損となり会社に損失が発生したことになるため、自社株式の評価額を引き下げる事ができるのです。

 

例えば、地価下落のあおりを受けて、簿価1億円の不動産を3000万円で売却した場合、およそ7000万円分評価額が圧縮できた事になります。このように含み損は、ただ持っているだけでは損失が確定しないという性質があるため、これを利用して一時的に法人の株式評価額を引き下げようということなのです。

 

この際、まだ不動産を手元に残しておきたい場合は、家族の経営する会社など完全支配関係のない会社に売却するという手段もあります。この時の売却価格は、故意に低すぎる価格に設定する事はできないため、公示価格や路線価など合理的な説明ができる査定方法によって売却価格を算出する必要があります。

 

この方法によって特に自社株式の引き下げ効果があるのは「類似業種比準価額方式」を用いて自社株式を評価する中会社や大会社の場合です。「純資産価額方式」を用いる小会社の場合は、含み損についても一定割合を控除することが可能です。

 

A自社株相続対策:保険商品の活用
会社が潜在的に有している損失を確定させる事で株価を引き下げる「含み損の売却」に対し、新たな商品を購入する事によって損金を発生させるのが「保険商品」を用いた節税対策です。例えば節税効率の高い「逓増定期保険」を活用した例で考えてみましょう。

 

逓増定期保険は実際に支払った保険料の半分を経費として計上する事ができます。これによって一定の株価引き下げ効果があると同時に、逓減定期保険は最終的には解約返戻金によって支出した保険料のほぼ満額が戻ってくる事になるため、一種の簿外資産を形成するこができるのです。

 

実質的にはマイナスにならない経費を保険商品によって作り出し、これによって利益を引き下げることで自社株式の評価額の引き下げをはかるのです。

 

B自社株相続対策:役員退職金の活用
会社に一時的な損失を作り出し利益を圧縮する方法に「役員退職金の支給」があります。これは資産管理法人の社長である不動産投資家が社長を退任する際に、一定の退職金を支給する事で、会社としてはそれを「損金」として計上できるため、これによって株価を引き下げる事ができます。

 

また、この方法にはもう一つメリットが隠されています。それは「納税資金対策」としての側面です。役員退職金を支給する事で法人から個人へ現金を移転することができるため、後はこれを他の保険商品や生前贈与と組み合わせて、納税資金対策を講じる事ができるのです。

 

まとめ
・資産管理法人も長年運営していると利益が蓄積され、相続時に納税負担が重くなります
・対策としては、評価を切り下げるために、含み損、保険商品、退職金の活用などが王道としてあります

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