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不動産信託の登記内容と登記費用

ほとんどの方が信託した際の登記や登記費用について馴染みがありませんが、賃貸アパートなどの不動産を信託財産として家族信託をすると、その旨を「登記」する必要があったり、登記費用がかかります。そこで今回は、この「信託登記」の必要性とその手続きの詳細について解説したいと思います。

 

なぜ信託を登記しなければならないの?
アパートやマンションなどの不動産を信託すると、法的にはその不動産の名義は現所有者である委託者から受託者に変更となります。これを法的に表現すると、「信託を原因として所有権が移転した」という事になります。

 

これは、不動産売買や不動産相続によって所有者の名義が代わるのと手続きとしては同じですが、信託の場合は厳密に言うと受託者=所有者ではありません。

 

信託の場合、財産価値があるのは受益者が有する「受益権」となりますので、例えば贈与税や相続税の対象となるのも「受益権」となります。

 

ですから、所有権という観点でいうと、登記上は「所有権移転」と登記の目的に記載されるものの、事実上信託財産は誰のものでもなく、独立した存在となります。

 

登記は第三者に対する対抗要件となっていますので、例えば信託の当事者ではない第三者に対して、当該物件の信託を主張するためには、必ず登記をする必要があります。また、信託財産は受託者の固有の財産とは分別して管理する必要があり、その観点からも信託を原因とする登記は必ず必要なのです。

 

信託登記には何が記載されるのか
信託登記は法務局の登記簿に登録され、以下のような内容が記載されます。信託の基本的な事柄が登記情報として記載されるのです。

 

1:登記の受付年月日
2:登記原因(信託を原因とする登記であることが記載されます)
3:権利者(この部分に受託者の氏名と住所が記載されます)
4:信託目録として以下の事項が記載されます。
○ 委託者の住所と氏名
○ 受託者の住所と氏名
○ 受益者の住所と氏名
○ 信託条項(信託の目的や信託財産の管理方法、信託の終了事由など信託契約書に記載されている条項について)

 

信託登記の費用について
信託登記をするには、以下のような費用がかかります。

 

@登録免許税
所有権移転登記自体は非課税ですが、信託の登記については対象となる不動産の固定資産税評価額に対する0.4%(平成29年3月31日まで税率の軽減措置が延長されたため、現状では0.3%)となります。

 

A専門家への報酬
信託登記は書類をすべて揃えて法務局に提出すれば、受託者が直接することも可能ですが、通常は司法書士や弁護士に依頼するのが一般的です。その際には別途司法書士報酬や弁護士報酬が発生します。、報酬については、目的となる財産の価額によって変動する場合もあります。高額な財産の信託登記の方が、報酬設定が高くなる料金設定の事務所もありますので、予め確認しておきましょう。

 

登記の内容に変更が生じた場合は、その都度変更登記が必要となります。先ほども記載したように、信託登記をすると信託契約に関する細かな情報が登記簿に記載されることとなります。万が一これらの情報に変更が生じた場合には、必ずその都度登記の内容も変更する必要があります。

 

【変更登記の具体例】

 

1:受益者が変更した場合
賃貸物件の家賃などの利益を受け取る受益者が相続などによって変更した場合は、その旨の移転登記が必要となります。

 

2:信託目録の記載内容の変更
信託登記に記載された信託目録の記載内容に変更が生じた場合は、また新たにその修正をするために変更登記を申請する必要があります。そのため、最初の信託登記をする前に、後からたびたび変更が生じることがないよう適切な信託内容を設定することが重要です。

 

3:信託の抹消登記
信託契約で予め定めた抹消事由に該当する状況が発生した場合は、信託の登記を抹消するための登記申請が必要となります。

 

これらの手続きにはそれぞれ別途専門家への報酬が発生しますので、これらの費用についても予め考慮した上で、信託契約の設定を考えるようにしましょう。

 

まとめ
・所有権の移転登記と同じく、信託の登記も必要
・信託の登記費用は、所有権登記費用より安いが、専門家への支払い総額も確認すべき

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